韓国の哨戒艦「PCC-772天安」の艦尾が見つかる

 3月26日に艦尾付近で爆発を起こし、27日未明に沈没した韓国の哨戒艦(コルベット)「PCC-772天安」の艦尾が見つかったそうです。なお、同艦は爆発により艦尾と艦首に別れ沈没しています。ちょうど煙突・ハープーンキャニスターあたりで分断されたようです。

 艦首部分は28日の潜水調査で既に位置が把握されています。一方艦尾部分には機関科の乗組員約30名の居住区があり、その為生存者がある程度存在すると考えられていました。艦尾部分は行方不明でしたが、韓国軍合同参謀本部は29日までに位置を把握したようです。潜水員が船体をハンマーで叩いたのですが、内部からの反応は無かったとのこと。水密扉の閉鎖を速やかに行うことができなかった場合は船体内部の大部分が水で満たされ、最悪の場合は完全に水で満たされてしまうことが考えられます。内部が水で満たされた場合は、ハンマーで叩いた時の音が満たされていない場合と異なるはずですがそれについての報道はありません。

 金泰栄(キム・テヨン)国防相は29日の国会国防委員会で「ほぼ3日が過ぎ、憂慮している」と発言。現場海域には韓国海軍・在韓米軍の艦艇が集まり"天安"内部への侵入を試みているとのこと。このような事故の場合でDSRVなどを送り込む余裕が無いのであれば、潜水員が内部へ入り込み一人ひとり救助するのが一般的です。ですが、現場海域は水流が速いと韓国側はしており、そうなればDSRVはもちろん潜水員での救助も困難になります。さらに水深が20〜30程度と浅いので海底の泥を水流が巻き上げる事による視界の低下も考えられます。いずれにせよ、艦内に取り残されている生存者が居るとすれば、危険度は時間が経つに連れて当然高まります。
(北朝鮮のサンオ型潜水艇)
 件の国会国防委員会では国会議員から触雷の可能性について指摘する声があったらしく、それについて国防相は「北朝鮮朝鮮戦争当時に日本海黄海に計3千余発の機雷を敷設した」と語り「完全に撤去できず、一部が残っている可能性はある」としました。朝鮮戦争では連合軍が元山上陸前に機雷除去を行い、周知の通りこの時に海上保安庁航路啓開部(だったかな?)の掃海部隊も派遣されて掃海作業を行っています。終戦後も米軍は掃海を続けていたでしょうし、何よりも50年以上の年月が経過しています。仮に機雷だとすると、係維機雷の可能性は低いでしょう。そりゃ掃海作業で漏れた機雷があるかもしれませんが、あの海域は今までもずっと韓国海軍が哨戒してきたところなので今までに触雷しなかった方が不思議です。機雷ならば浮流機雷か沈底機雷、或いは「戦争以後に敷設された係維機雷」でしょう。もっとも、あの国なら平気で1時間たっても活性化してる浮遊機雷を送り出してきそうですが(浮遊機雷は自由に海を漂う機雷ですが、中立国の船舶に被害を与え無いために敷設してから1時間で不活性化=起爆しないようにさせる事が国際法で決まっています)。結局機雷は全部可能性アリですか。北朝鮮の兵器でこっそり機雷を敷設出来るとなれば多分サンオ型潜水艇ですね。
(サンオ型)
 機雷でないなら、考えられる可能性は「火薬類の爆発」です。浦項級には76mm速射砲4門を初め、40/20mm連装機銃や爆雷などが搭載されていますし、装薬だって立派な火薬です。たとえばOTOメララ76mm速射砲は即応80発なので80×4=320発です。とは言え、爆発したとすると後部砲塔の分だけですが(スーパー・ラピッド砲と呼ばれるタイプは即応85発で、コンパクト砲と呼ばれるものは80発です。浦項級には恐らく簡素なコンパクト砲が搭載されているでしょう)。「艦体の疲労」を理由に挙げる人もいますが、これでは爆発音の説明がつきません。

 国防相は「北が攻撃する兆候はなかった」と説明しています。が、機雷を敷設・あるいは浮遊機雷を流した可能性までは分からないとしています。