米国の弾道ミサイル防衛はロシアのミサイルに脅威を与えるものではない

 The Voice of Russiaによると、米国のローズ・ゴットモーラー国務長官補佐官は22日にアメリカの弾道ミサイル防衛システム(MD)はロシアのロケットに対して脅威を与えるものではないと発表したようです。

 米議会上院が新戦略兵器削減条約(新START)を批准した後にゴットモーラー国務長官補佐官がロシア記者団に対して米国のMDがロシア弾道ミサイルの脅威と成るものではなくリスボンでのNATOサミットでの確認通り米国は弾道ミサイル防衛に関してロシアと協力していく意向だと語りました。

 従来の米国・NATO弾道ミサイル防衛システムはロシアのロケットを標的としていましたが(正確には、ロシアがそう解釈していた)、近年の国際関係の変化に伴い中東の”小型ナポレオン”の居る国々(イランなど)の短距離〜中距離ミサイルを標的とするように成り、ロシアをミサイル防衛のパートナーに迎え入れることが先日のNATOサミットで決定されました。アメリカとしては繰り返しロシアをMDのパートナーだと発表することで米露の緊密さとロシアに対しては協調関係を築こうとしていることをアピールしようとしているのでしょう。

(↑SM-3を発射するタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦CG-70 レイク・エリー)
 ”東欧ミサイル防衛構想”ではまずMD対応のイージス艦及びSM-3ミサイルを配備し、次の段階でチェコポーランドに陸上発射型SM-3ミサイルを配備、さらに現在日本も開発を一部担当しているSM-3 blockIIA(改良型SM-3)にミサイルを更新し、最終的にはSM-3 blockIIBの配備によりICBMクラスのミサイルを迎撃する能力を備えます。