プロジェクト11661K警備艦の二番艦「ダゲスタン」が海上公試を行う

 長らく建造中であったプロジェクト11661K警備艦の二番艦「ダゲスタン」が就役に向けてラストスパートに入りました。今後海上公試を行い、来年春までにカスピ海小艦隊に就役する予定。(flot.com)

 カスピ海小艦隊はカスピ海の警備・防衛を主目的とした艦隊で、冷戦後にカザフスタン共和国アゼルバイジャン共和国などが独立してカスピ海周辺の緊張が高まったことと油田発見で近年戦略的価値の増している艦隊でもあります。特に、この油田をめぐってアゼルバイジャン共和国とイランが争っており、共同開発や分割といった案が提案されているものの未だ油田の領有権について決着はついていません。
 このように緊張の高まるカスピ海ですが、大型艦は当然投入できないので哨戒艇ミサイル艇を中心として、有事の際の作戦行動はもちろん主に密漁や密輸の取締も行なっています。イランはカスピ海に50隻程度の小型哨戒艇を配備し、ロシアはカスピ海小艦隊に28隻の船艇を振り分けています。

 プロジェクト11661K(ゲパルト級)は小型対潜艦として知られるグリシャ級コルベット(プロジェクト1124)の拡大発展型で、汎用性を付与して21世紀を睨んだ設計の小型艦です。輸出も視野に入れたクラスでしたが、一番艦が就役する前からより高性能・多目的に使用可能なステレグシュチイ級フリゲート(プロジェクト20380)が就役してしまい陳腐化してしまいました。ステレグシュチイ級は「ロシア海軍」が初めて設計した艦で、沿岸戦闘を重視した設計のステルス艦でなおかつ全面的にゲパルト級を上回る性能を持ちます(ただし高度すぎて徴兵では乗組員を確保できない)。つまり、両者がターゲットとするニーズが同じなのです。そういうわけで値段もそこそこ手頃(1隻60億円程度)なステレグシュチイ級は2001年から2006年の間に4隻起工されていますが、ゲパルト級はこれでやっと2隻(ベトナム海軍向けに別に2隻建造しているが)です。
 ゲパルト級は結果として一番艦「タタールスタン」からカスピ海小艦隊に回され、旗艦に収まっています。ダゲスタンは、第106水域警備艦旅団あるいは第73水域警備艦旅団に配備、もしくはタタールスタンと2隻だけで部隊を組むかでしょう。