ロシアの新型フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は2011年に就役する

 ロシア海軍のために建造されている新型フリゲート、プロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は2011年にロシア海軍に就役すると建造しているセーヴェルナヤ・ヴェルフィ関係者は述べたそうです。関係者は新フリゲートは、2010年後半に進水し、来年、一連の試験を経た後に艦隊へ編入されると述べたそうです。
プロジェクト22350予想図
 
 万能フリゲート”プロジェクト22350”はロシアの4艦隊全てに配属され、21世紀のロシア海軍の大洋ゾーン水上艦の基幹となる予定のクラスです。艦隊には20〜30隻が必要とされ、ステルスタイプのシールドを纏ったA-192-5P-10 130mm速射砲 P-800超音速巡航ミサイル(輸出名「ヤーホント」Яхонт)、艦隊防空用防空ミサイル複合体「ウラガン」(3S90E.1 VLS*24セル搭載)など最新鋭の兵装が搭載されます。ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課でも述べられていましたが、ミサイル誘導は艦橋に張り付いているフェイズドアレイレーダーで行うようです。また、搭載されるVLS”3S90E.1”はそれまでの回転リボルバー方式の円形VLSから西側と同じような箱型に形状が変形されています。円形VLS宇宙戦艦ヤマトⅢのボラー連邦所属艦の対艦ミサイル「スペースロック」(ASROCの親戚ですかね)のランチャーとしても使用されていました。

↑甲板上に円形VLSが見えます。これがそうです。ピンぼけの写真ですが・・・・。スペースロックは推力偏向ノズルが搭載されていたようです。

 現在建造中の同クラスは1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」と2番艦「アドミラル・カサトノフ」です。艦体の大きさは満載排水量4500トン、全長130メートル、幅16メートル 吃水4,5メートル。速力は29ノット、乗組員は210名。兵装は先述した通りA-192型130mm砲、8基の対艦ミサイル3M55「オーニクス」、8基の対潜ミサイル複合体「メドヴェドカ- 2」、24基の防空ミサイル複合体「ウラガン」。さらに、ヘリコプターの運用能力を持ちKa-32を搭載する予定。対空・対艦(・対地)・対潜を意識して建造された汎用艦だと言える。

↑Ka-32。見ての通り二重反転同軸回転翼を採用しており、韓国では捜索救難ヘリコプターHH-32として制式採用されている。

 例えば同じフリゲートである日本のあさぎり型護衛艦と比較すると、このクラスは8隻建造されているが旧式であることと当時の運用思想・運用者が自衛隊であることを反映して対潜・対艦を意識して造られていると言える。対空戦闘ももちろん可能だが、搭載しているのは個艦防御用のRIM-7 シースパローであり、同時多目標対処能力も限定される。排水量は前期型では満載 4,900t後期型では同4,950t、全長137m、幅14.6m、吃水4.4m(後期型では4.5m)、速力30kt、乗員は220名で、76mm速射砲とRGM-84 Harpoonを4基、74式ASROC8連装ランチャーを1基(次発装填弾あり)、シースパロー短SAM8連装ランチャーを1基(次発装填弾あり)、そして両舷側に3連装短魚雷射出機を装備している。八八艦隊の構想に基づき対潜ヘリを一機(最大二機)搭載できるのが特徴で、対潜ヘリ・ASROC・短魚雷と三重の対潜攻撃手段を装備しているフリゲートは珍しい。が、対艦・対空・対地攻撃全てを兼任できるだけの兵装は搭載されていない。艦体の大きさはプロジェクト22350とほぼ同じだが、柔軟に運用できるのが新世代艦の特徴だ。

↑あさぎり型8番艦DD-158 うみぎり