鳩山政権は「人道目的」で使用される自衛隊装備品の輸出を見当かなみする

 御存知の通り日本には「武器輸出3原則」があり、原則的にすべての武器が輸出出来ませんでした。US-1やC-1などはある程度の需要を見込むことが出来ましたが、武器輸出3原則が障害となって輸出出来ませんでした。輸出することができれば量産効果により装備品の価格を下げる見込みが得られ、防衛産業も強化されます。

 鳩山政権は人命救助などの人道目的で用いる防衛装備品を、武器輸出3原則の適用外とする検討案を首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」に提案し、年末に改定する新防衛計画大綱に反映させたい意向だという。(朝日)
政権としては3原則を守りつつ「人道目的」の装備品を輸出可能とする新たなルールづくりをしたいとのこと。1976年の三木武夫首相の衆議院予算委員会での答弁では「軍隊が使用するもので、直接戦闘の用に供されるもの」を武器と定義しており、「人道目的」で使用されるなら武器には当たらないという訳。輸出する際にダウングレードしたり用途を限定するといったことも見当されているという。「武器として使わせるつもりは無いが、輸出することには吝かではない」という事になる。また、個別に3原則の適用外に指定したり、ダウングレードして民生品にすることも検討中だという。
US-2
 現在、3原則適用外品(輸出可能な装備品)に指定されそうなのは飛行艇US-2など。「武器ではないもの」を「武器の定義に当てはまらないもの」と考えれば、陸自が使用している観測ヘリOH-6DやOH-1も輸出可能になるでしょう。既に民間でも使用されていますが、陸自の装備品では赤外線センサーやレーザー測距装置等が追加されています。92式浮橋なども「武器の定義」には当てはまらないので輸出が可能になるでしょう。災害時等にも威力を発揮しそうな装備です。しかし、輸出が可能になることによって生じるメリットが最も大きいのは飛行艇US-2でしょう。離島部への輸送や災害時の避難に使用されており、前型のUS-1/US-1Aとあわせて7機が稼動状態にあるように調達しています。が、高性能で特殊なゆえに単価が高く、調達数も細々とした物なので価格は更に跳ね上がっていました(とても払えないという程ではないのですが)。「ならば輸入すれば良いではないか」という意見もあるかもしれませんが、残念ながら世界にはこの機体の代わりを務めることの出来る機体がありません。2式大艇等に見ることの出来る日本の飛行艇に関する技術の高さは他国の追随出来るものではありません。例えばUS-1の場合元々対潜用として開発されたため日本が輸出を"自粛"していましたが、波高3mの状態でも普通に離着水でき、しかも短距離で離水可能です。一方ロシアのBe-200ジェット飛行艇は水深2m、波高1.2m以下の場所で離水時に1000m、着水時に1300mの滑走が必要となります。とても波高が3mもあると運用出来ません。Be-200にはそこそこの需要がありました。US-2が割り込める余地はまだあるでしょう。既にインドネシアやフィリピンから打診があっとも言われます。US-2が輸出されることで単価も下がり、US-2の運用上の経験がより収集されることで未来の開発に活かすことが出来ます。

 これを契機に、今後の国際共同開発計画にも参加することが出来るようになれば日本の技術向上と防衛産業の強化に繋がるでしょう。