朝日新聞の投書欄に「武器輸出に人道的ありえぬ」内容は「 な、なんだってー」


 3月25日の朝日新聞の投書欄に「武器輸出に人道的ありえぬ」という物が有りました。曰く「輸出される武器も、人道的なものと非人道的なものとを区別出来るわけがない」。輸出の見当がされているのは「武器」では無く「武器の定義に該当せず、人道目的と認められる防衛装備品」ですが。投書した人のニュースソースは朝日新聞だったようなのですが、過去の朝日新聞にもはっきりそう書かれています。ここでいう「武器の定義」とは1976年の衆院予算委員会の答弁にあった三木武夫首相の「軍隊が使用するもので、直接戦闘の用に供されるもの」のことです。つまり、「武器の定義に該当せず、人道目的と認められる防衛装備品」は「軍隊が使用するもので、直接戦闘の用に供されないものでありかつ人道目的に使用される防衛装備品」ということでしょう。要は、直接的な戦闘に参加しないものであればいいと。「人道目的に使用される装備」というのは災害救助のような人助けに役立つ装備ということでしょうから、施設科で使用される92式浮橋・81式自走架柱橋、災害時などの離島部からの避難や輸送に使われている飛行艇US-2などが「直接戦闘に参加せず、人道目的に使用できる防衛装備品」の定義を満たすことが出来るのではないのでしょうか。「輸出する際にダウングレードしたり用途を限定するといったことも見当されている」との事なので需要は未知数ですが、装甲車から機関砲や対戦車誘導弾・擲弾銃を取り除いて災害時用の車両として輸出したりすることも可能になるでしょう。兵装は取り外してあるので「直接戦闘には」参加しないわけです。装甲車・戦車そのものや野砲の類は「直接戦闘に参加」するので輸出されないのです。
92式浮橋
 「装甲車から兵装を取り除いたところでまた取り付けたら戦闘に参加出来るじゃないか」と言い出す人もいるかも知れません。「武器にされる恐れがあるなら輸出するべきじゃない」と。が、そんな事を言い出したらきりがありません。私ならこう言い返します。「だったら日本車に機関銃を取り付けて偵察車にされるかもしれないぞ」 まあ、日本車を偵察車にするなんて珍妙なことをする国が居るとは思えませんが、ビジネスジェット機だって各国の軍に配備されています。空自でも米国のガルフストリームⅣというビジネスジェット機を「多用途支援機 U-4」という名称でそのまま採用しています。幸い空自では小型貨物の輸送や指揮官の移動などに使用されていますが、(あまり定かではないのですが)米国では電子戦機使用・電子偵察機使用・対潜水艦戦仕様などが検討されているとも言われています。対潜戦仕様機などは先程の「武器の定義」に当てはまりますね。これ、武器ですよね?ホンダのビジネスジェット機もひょっとしたらこんな風に武器にされるんじゃない?「武器にされる恐れがあるから輸出したらだめ」なんだったらホンダに圧力かけないと。 こんな風に国内産業のほぼ全てがダメになってしまいます。
多用途支援機 U-4
 「人道目的に使用される防衛装備品」を輸出することで、その装備の実際の評価もより広く集めることが出来ますし、それによって助かる人命もあるでしょう。量産効果がでれば単価も下がります。「人道目的に使用される防衛装備品」は輸出してもいいように思います。ただ、輸出する装備の部品に海外からの輸入品・ライセンス生産品が含まれていればちょっと怪しくなりますが。