韓国の「PCC-772天安」は船体が二つに折れて沈没した

 26日に艦体後部から浸水し、27日未明に完全に沈没した韓国の哨戒艦「PCC-772天安」についての最新情報です。
(後部から見た浦項級)
 朝日新聞毎日新聞によれば、天安の艦長は「瞬間的に船体が破壊され、船体の半分が失われた状態だった」」と語っており船体が真っ二つに折れて沈没していったことが判明した。韓国軍は「爆発後20分で艦艇の60%が浸水した。艦尾は重い機関室があるため、艦首とは別に、間もなく爆発地点に沈んだと推定される」とし、朝日新聞では艦首が沈んだ場所から5〜6km離れたところに沈んでるとしている。韓国海軍関係者は、天安が急速に沈没した理由としてダメージコントロールシステムが機能しなかったことを挙げた。「哨戒艦は、内部を約100個の区域に分け事故が起きれば、その部分を遮断する構造になっている。しかし、今回はその機能が一気に失われた」彼は語った。

 毎日jpによれば、行方不明者46名の階級の殆どは下士官以下であり、急速に沈没した韓尾付近には機関科に属する乗組員三十数人の居住区があったという。28日に韓国国防省は「艦橋や甲板にいた乗組員の多くは爆発後、救助する余裕があった。しかし艦尾乗組員は脱出する余裕もなかったと思われる」と述べています。これは恐らく急速に艦尾が沈没してしまったからでしょうが、艦尾と艦首が分断された状態であったならばダメコンも困難です。さらに韓国は28日に潜水員を沈没海域に派遣し天安の船体と生存者を捜索させたものの、収穫はゼロでした。しかし今回の潜水で既に艦首の沈没位置は確認出来ているようです。沈没海域の水流が早いことは、捜索作業だけでなく引き上げにも影響を及ぼします。

 米国はこれまでに「韓国は外国の要因を除外し始めているようだ」と指摘しており、現在も外国(特に北朝鮮)の関与については否定的です。クローリー国務次官補は26日の会見で「米政府は情勢を注視している」と述べるにとどめました。

 北朝鮮は沈黙を保っています。米国・韓国ともに「北朝鮮軍に異常な動きはない」としています。一方で韓国の外交通商省と統一省は27日以来、非常勤務態勢を敷いており緊張が完全に緩和されたわけでは無いようです。

 
 今回沈没したのは満載排水量が1220tである韓国海軍の浦項(ポハン)級コルベットの14番艦「PCC-772天安」で、同艦は1989年11月に就役しました。浦項級は1番艦「PCC-756浦項」が既に除籍されていますが、それ以外の艦は全てが作戦行動を取れる状態で就役していました。今回の事故で浦項級は22隻に減勢されます。浦項級は主に北朝鮮軍の水上・水中部隊を阻止することを目的に建造されており、元々小型艦である事・小型の船体に兵装をありったけ詰め込んだこと・度重なる兵装の増設によって外洋航行能力は著しく制限されています。また韓国製軍艦の例に漏れず、欠陥がこれまでに多数見つかっています。


 これは冒頭に掲載した浦項級の後部の写真と前部から見た浦項級の写真ですが、76mm速射砲を背負式に配置しているため艦橋の高さを高くとらざるを得ず、無理に配置した兵装との相乗効果で復元性がかなり悪化しているのではないでしょうか。日本海軍の特型駆逐艦(初春型)にも見れるように、復元性が悪くなると凌波性が低下し波高が高い場合は航海できません。韓国は水上戦闘艦に兵装をかなり多めに搭載する傾向にあります。ですが、この事は今回の事件には恐らく無関係です。

 今回沈没した原因は、弾薬庫に格納してあった弾薬・装薬の引火・爆発だと見られています。