「PCC-772 天安」沈没の原因は水中爆発だとする発表を調査団は行った

 3月27日に全没した韓国の哨戒コルベット「PCC-772 天安」沈没の原因は水中爆発だという発表を調査団は発表しました。

(↑引き上げられる艦首)
 まず、4月15日にコルベットの艦尾部分が引き上げられました。続いて同24日には艦首部分も引き上げられました。艦尾部分では舷側の3連装短魚雷発射管やRGM-84 ハープーンのキャニスターが抜け落ち艦首部分ではマストが折れており衝撃がかなりの規模だったことを伺わせました。艦首の引き上げについてはFLOT.comにも記述されています。引き上げられた天安は韓国海軍の平沢基地へ曳航されて行ったようです。調査はまだ途中ですが、船体の歪み具合を見れば艦体疲労なのか魚雷・機雷が原因なのかが判明します。軍民連合の調査団は「船体外部の水中で何らかの爆発が起きその衝撃波と気泡で船体が切断された可能性が高い」という趣旨の発表をしました。調査団は艦体疲労が沈没の原因だということはないとしました。弾薬庫や燃料庫に目立った損傷は無かったようです。

(↑引き上げられた艦尾)
 キム国防相は25日、「魚雷(の爆発)による衝撃が最も考えられるのではないか」との見解を示しましたが、断定は避けています。軍民連合調査団も前述したように水中爆発が原因の可能性が高いとしていますが、爆発原因については明言を避けました。キム国防相は4月初頭の答弁でも「魚雷の可能性が機雷よりも高い」という趣旨の発言をしていましたが、国防省としての見解も「魚雷が疑わしい」に傾いているようです。

 調査団は今後艦体の詳しい検査やシュミレーション、破片の捜索を行い水中爆発の規模を特定し最終的な報告書をまとめていく予定だということです。


 韓国国防省としては魚雷説にすがりたいようです。確かに、魚雷の水中爆発でも断面が綺麗な直線になる例はあるようです(艦体疲労との違いは船体が歪んでいるかどうかでしょうね)。ですが、命中した魚雷を最後の最後まで天安のソナーが捉えられなかったというのはちょっと不自然です。もちろん100%捉えられると断言することはできませんが。機雷程度の出力で綺麗に船体が割れるのかはよくわかりませんが、もしかしたらそれこそ艦体疲労との相乗効果だったりするかもしれません。原因はまだまだ不明です。これからの原因究明を待ちたいところです。

 なお、韓国の柳明桓外交通商相は18日に天安沈没に北朝鮮が関与していた場合国連安全保障理事会への提起を検討するとKBSテレビで述べています。