アクラ2級多目的攻撃型原潜K-152ネルパは2010年末にインドへ回航される

 
  インドにリースされる予定のアクラ2級SSN「K-152 ネルパ」は2010年末までにインドに回航されるようです(flot.com)。

(↑K-153ネルパ)
 おそらく今年の秋の10月、11月に回航される見通しだと言うことで、乗員の教育・訓練もそれまでに完了するようです。アクラ2級(971M型/09710型)多目的攻撃型原潜K-152「ネルパ」はアクラ2級3番艦(アクラ級全体としては12番艦)。ネルパはK-337「クーグアル」と共に、1990年代末期には完全に工事が中断されていた状態で就役は絶望的な状況でしたが、海軍を重視する形となったプーチン政権が工事を再開させました。が、(何時もの如く)工事は遅々として進まず、結局ロシア海軍への就役は無いだろうという雰囲気が出てきました。そんな中、西暦2001年インド海軍へクーグアルとネルパをリースしようと言う話が持ち上がりました。以前、インド海軍はどうしても原潜保有を諦めきれずにソ連海軍のチャーリー級巡航ミサイル原潜K-43を4年間リースしていました。今度はそのアクラ級を後継にしようと言うわけです。が、(相変わらず)事はすんなり進まず、フランスからスコルペーヌ級SS6隻の輸入と6隻のライセンス生産が行われることになり、リースの話は棚上げになります。が、結局2007年11月11日にモスクワを訪れたインド首相がリース契約に調印。めでたくインドは再び原潜を保有することになるのでした。当初は2008年頃リース開始の予定でした。やや予定は遅れ気味だったものの、あの事件までは全てが順調に進んでいました。そう、あの事件までは。

 皆様方、2008年11月8日を覚えていらっしゃるでしょうか。別に「いい歯の日」じゃないですよ別に。そう、ネルパが消火システムの誤作動を起こして搭乗していた20人以上が死亡した事件です。当時はまだロシア海軍にも編入されておらず、その年のうちに一旦海軍に編入される予定でした(ネルパが試験航海までこぎ着けたのはインドのおかげです)。が、日本海での試験航海の途中に消火システム「ロフ」が作動し該当区画にフレオンガスが放出され、民間人17名と水兵3名が犠牲になりました。原子炉など重要な区画に損傷は無かったものの当然試験は中止され、しばらくの間ネルパの時間は止まります。

(↑アクラ2級内部。矢印があるのは問題だった区画)
 再び時が動き始めたのは2009年12月28日のこと。気温氷点下25度、悪天候のもと就役式典が行われロシア海軍の戦闘編制へ編入されました。そして2010年3月17日にはインド海軍から将来のネルパ乗員が派遣され、その後訓練が開始されています。そして今回、ネルパがリースされるであろう大まかな日付が判明したわけです。予定から約2年遅れですが、インドは再び原潜を保有します。また、インドにネルパ以外の原潜が引き渡される可能性が現実のものである事を連邦軍事技術協力局局長ミハイル・ドミトリエフが今年1月に認めています(K-337とその他でしょうか?)。インドがK-152に名付ける名前は「チャクラ」。かつてインド海軍が運用していたチャーリー級のK-43のインド名と同じです。インド海軍関係者は「ネルパの操艦経験は国産原潜「アリハント」(ラインハルトとよく間違えますw)の為にも成る」と前向きです。2008年11月8日、ネルパ艦内で亡くなられた方のご冥福を祈りつつ。


 巡洋艦ワリャーグよ。お前はヴォストーク-2010をおいてどこへいくのだ!(また後で詳しく)