IS06の4月14日のアップデート顛末

 auのIS06は2/17の初回アップデートCメール送信やSkype auに対応し、「4月以降のアップデート」でEzメール(キャリアメール)などに対応する予定でした。そして今日、そのアップデートが14日に配布されたのですこしこれについてまとめてみようと思います。
 注意:root化してる人でアップデートを試みる場合は事前にunrootすること。また、アップデート後現状ではrootを取得することは出来ません。
Pantech公式アップデートサイト

【今回のアップデートのイカしたところ】
1.キャリアメール(Ezメール)対応
2.コンパスの不具合解消?※
3.auかんたん決済対応
4.au one Market対応
5.時計が15秒速く進んでいる事象が解消※
6.絵文字対応(デコメ対応。Ez・Cメールともに使える)
7.音楽アプリの「フォルダ」機能追加
8.従来の日本語・英語表記に加え中国語・韓国語での言語表示が可能に
9.CDMA1Xエリアでの144kbpsデータ通信に対応
10.音ズレもほぼ解決?※
11.スリープ時のWi-Fi切断が解消?※
12.Froyo標準テザリングは使用できる(ただしアレゲな方法)
【今回のアップデートのイカしてないところ】
1.root化が現状で不可。さらにrootedのままアップデートすると面倒なことに
2.当然フォントはデフォルトのものに書き換えられ、root化出来ないので変更不可
3.TitaniumBackupで凍結したjibeやSkype auが復活する。※
4.Ezメールのメーラーはあの悪名名高いアプリックス
といったところでしょうか。※は2チャンネルでの書き込みを元にしたもので、確実な情報とは限りません。

1:普通の人にはどうなの?
 このアップデート内容は、端末をroot化していない人にとってはなかなか美味しい内容です。SPモードメールやIS04のメーラーで悪評の高いアプリックスメーラーですが、IS04の物よりはバージョンが新しくある程度は改善されているようです(先日04にメーラーアップデートとして配布された物と同じバージョンかは現時点では報告なし)。またEzメールアプリの常駐による異常な電池消費も現在では見られません。IS04では散々叩かれていたこのメーラーの「受信遅延」も現在のところ報告なし。”洗練されてはいないが、我慢できる範疇のメーラー”というのが客観的な評価でしょうか。
 また、CDMA1Xエリアでのデータ通信に対応したことにより、CDMA WINエリアではなくてもネットが出来るようになりました。しかし速度は144kbpsと低速なのであくまでも常用可能な速度ではありませんが。これによりデータ通信可能なエリアが広がっています。
 音楽アプリの「フォルダ」機能は何なんでしょうかね・・・・。auによると「PCなどでmicroSDにフォルダを作って楽曲を保存しておくと、プレイリストを作成せずにそのフォルダを選択するだけで聴きたい楽曲の再生が可能です。」とのことですがちょっと意味がわかりませんね・・・・・。
 中国語・韓国語表示対応は何も言うことはないですね。韓国メーカー製だけあって韓国語対応かwくらい。こんなところでグローバル性を発揮されてもねぇ。
 後は音ズレなどのこれまでに散見された不具合をポチポチ修正したってところでしょうか。root化するのに使う不具合とともに。

2:Rootedな人にはどうなの?
 逆に、root化してる人にとっては困った状況へと誘うアップデートです。
 まず、root化に使用する不具合は徹底的に潰してあるようで、z4rootSuper One Clickなど多くの既存のroot化ツールが使えなくなっています。どれも古いバージョンから新しいバージョンまで試してみた人が居るようですがroot化不可だったとのこと。そしてアップデートすると前回同様unrootの状態になるのでフォント変更やTitaniumBackupやSet CPUの使用は不可能になります。
 そして、root化したままアップデートする・アップデートした後にroot化を試みた後に特定の作業をしようとすると「これ不正なアプリなんだけど」というメッセージが表示されるとか。このメッセージが表示される作業は幾つかありますが、Ezメールアプリの起動・SuperUserアプリのapkをインストールしようとしたときなどに表示されるとのこと。この事態に陥ると初期化しか無いようですが、前述したようにTitaniumBackupが使えないので完全に設定まで復元するのは不可能です。もっともアプリはGoogle IDに紐付けされているので全て戻って来ますが。
【追記】「不正なアプリ」の件は、adb shellで/data/local/tmp/psneuterを削除すれば解決するとのこと。また存在する場合は/data/local/tmp/rageagainstthecageも削除してから再起動。するとunrootされるがメッセージは表示されなくなる。できればアップデートする前にunrootすることが望ましいが、忘れてそのままアップデートした場合はこの方法を使うと良い。これもIS06スレの産物。

3:テザリングはどうなったの?
 一部の人にとって最も気になるのはテザリングについてでしょう。root化出来ないということは、Wireless Tetherは使えなくなるということです。反面、root化不要なEasy TetherやPdaNet for Androidは使用できます。2/17のアップデートでWikiに書かれている方法では使用不可能になったFroyo標準テザに関してもある方法を使えば使用できるようです。au側としてはHTC EVOでテザを許可するからには他の端末からのテザは防ぎたいところでしょう。

4:その他
 今回のアップデートで一番ホットな話題は間違いなく”公式アップデート前日にPantechサーバーにアップロードされていたアップデーターが発見される”ということでしょう。2チャンネルIS06スレのメンバーによって発見されたこのアップデーターは、ファイル名を「TJMASKAP050300.apk」といい、結果的にはこれが14日に公式アップデートとして配布されました。
 一方で、これとは別に「TJMASKAP050000.apk」という公式アップデーターよりも11KBサイズが小さいファイルが同じくサーバーにアップされていることも発見されました。リンクは貼られていないとは言え、公式アップデーターと同じディレクトリ上に配置されていることから導入による文鎮化リスクは少ないと考えられるものの、正規のアップデーターではないので動作するとは言い切れません。試すなら自己責任で。いきなり導入はせずに、IS06アップローダーで配布されている”extfirm.zip”を使って中身を見てみるのが先決でしょう。また、2チャンネルのIS06スレでは「俺は050000に特攻してみようと思う… 」という書き込みもあるので微かにそれに期待しつつスルーしましょう。このファイルは正規の50300.apkよりも11KB小さいことから、root化を阻止する(例えば不正なアプリ〜を表示するコードとか?)プログラムが入っていないのではないかと期待されていますが全く当て外れの可能性もあります。
【追記】TJMASKAP050000.apkも正規のアップデーターと現時点までではなんら変わらないとのこと。root関連も含めて。

 auスマートフォン市場での出遅れを挽回するために「他社の端末には無い、au独自の魅力があれば勝てる」と考えたはずですが、その「au独自の魅力」はガラパロイドに有ると考えて端末のガラケー機能追加に走ったところから歪んだ気がします。例えばHTC EVOのようなテザリングWiMAXau独自の魅力として当初から投入していたらどうでしょうか?EVOは去年のGoogle カンファレンスで配布された端末です。日本メーカーへの配慮なのかもしれませんが本気になれば去年の時点でこれを投入することはできたはずです。もちろんガラケー機能を重視する人もいるでしょうが、多様なニーズに応えること無くガラパロイドだけに走ったのがau最大の失敗だと思います。
 一応IS06はグローバル端末ですが、GalaxySの2.3へのアップデートを行うと表明しているSAMSUNG(ドコモの機嫌にもよりますが)と比べてPantech&auの動きには鈍いものがあります。もちろんOSアップデートがあるにしてもPantechのSky Vega2(仮称)がリリースされてからになるでしょうが、告知くらいは先にして欲しいものです。このままアップデートされないなら何のためのグローバル端末なのかわかったものではありません。

 メーカーがroot取得阻止を目指すのは理解できますが、キャリア自らユーザーの端末の使用方法を「こうだ!」と限定し固定することが”auらしさ”でありそこに”ワクワク感”があるとでも考えているのでしょうか。とても私には”ワクワク感をお伝え”できてないのですが。もしauがこの期に及んでキャリアがメーカーより上位に立ち端末のあり方をキャリア主導で決めてメーカーに強制しようとしているならガラケー時代から全く変わっておらず、世界の情勢を学ぶことの出来ない閉鎖的体質に引きこもるauに未来はないでしょう。ただでさえCDMA2000でアレなのに。