ミストラル契約に関する重要な交渉が4月20日に行われる

 ミストラル級購入に関するロシア国防省とフランスの代表との「重要な交渉」が4月20日に行われると情報筋がRIAノーボスチへ語ったようです(flot.com)

 情報筋は「4月20日の交渉は契約の運命を変える重要な交渉だ」「状況は非常に複雑ですが、交渉の過程もまた複雑で難しい」と述べています。
 「何が問題なのでしょうか?」彼は語りました「”つまずきの石”は艦の完全なセットです。問題はNATO規格の二つのシステム---戦闘情報指揮システムZenith-9(SENIT-9)と艦隊の作戦指揮システムSIC-21---です。フランスはZenith-9を船の共に引き渡すことを望んでいません。フランスはライセンスを与えずにロシアへ艦を給与することは同意します。」情報筋はフランスの空母シャルル・ド・ゴールがSIC-21を装備していることを引き合いに出しました。「我々はミストラルの全ての装置やシステムの移転を主張しています」
 ”戦略と技術分析センター”のトップであるルスラン・プーコフはノーボスチへ「世界の強襲揚陸艦市場ではメーカーが支配しています。買い手は支配しません」と述べ、買い手(ロシア)よりもメーカー(フランス)が優位にある事を説明しました。「ロシアがこれらのシステムを得ることが出来なかった場合、他のメーカーから強襲揚陸艦を調達する可能性もあるでしょう」彼は語りました。

 ミストラルは2010年10月の入札の結果12月末に露仏共同で建造することが決定し、2011年1月25日にはミストラル"の購入に関する政府間協定が結ばれた。これには建造期限やその後の契約に関する費用の決定は含まれていない。これらは別の契約で決定されます。これに先立ち、ロシア国防次官ウラジーミル・ポポフキンは契約は15億ユーロ以下だと推定しています。


 やはり現代では船の設計図そのものよりも電子機器の方が大事です。航空機のアビオニクス然り。フランスはSENIT9(Zenith-9というのはSENIT9のフランス語綴りです)とSIC-21をロシアへ給与することを拒んでいるようです。SENITの役割は米海軍のNTDSと同じで(というか模倣)、SENIT9はそれを独自化・高度化させたものです。flot.com記事中では空母シャルル・ド・ゴールはSENIT9搭載とされていましたがSENIT8搭載のようです(現在SENIT9搭載はミストラル級のみの模様)。
 SIC-21はフランス独自のシステムですがNATO規格と互換性を持っています。データリンクにより陸海空のあらゆる部隊の状態を把握・統合し指揮する為のシステムです。このシステムの運用は2006年から開始されたので最新鋭の部類に入ります。開発者はタレス

 フランスはシャルル・ド・ゴール(大統領)以来の悪癖か独自色を出すことに血道を上げており、NATO諸国の中でもいち早くロシアと軍事的な提携の方向へ動いています。NATOによるMD計画へロシアを招き入れたのもフランスです。フランスとしてはロシアとの繋がりを強化したいところですが、一方で重要なコンポネートである最新鋭のデータリンクシステムや戦術情報処理装置をロシアへ渡すのには抵抗があります。これは外交的駆け引きのフィールドと成りますが、ロシアはこれらを欲しているのでどう落とし前をつけるかが見物です。