MiG-35はインドの次期戦闘機選定から外れた

 ロシアがインドへのMiG-35の売り込みに失敗したことが「21世紀最大の武器輸出の入札に失敗した」という文章でarms-expoが紹介しています。

 インドがMiG-35を不採用とした理由の一つはエンジンにあると言うことです。他にもMiG-35についてインドがケチを付けるべきところは14ヶ所に昇るとされ、インドはMiG-35から離れることになりました。もちろんケチを付けたところが欠陥だとは限らず(運用上そぐわないとかね)、ひいてこれだけでMiG-35が失敗作だと断定できるわけではありません。

  さらにMiG-35の悲運なところは、未だロシア空軍にも受け入れられていない点です。Su-27の後継となるPAK FAとMiG-29の発展型であるMiG-35は基本的に役割は重複しませんが、ロシア空軍は今のところMiG-29の後継を必要としていないため国内・国外市場でもMiG-35は否定された形となっています。

 ロシアはMiG-35の内定を「確信していた」(曰くarms-expo)とのことで、またインドの専門家も「単に安いだけではなく高い性能を持っている」と評していました。

(↑スイス空軍のF/A-18C)
 一方、MiG-35と仲良く落選したのがF/A-18E/Fですが、こちらは政治的な理由で外されたようです。「米国製のいくつかの種類の兵器はアメリカの管理下に置かれるから」という趣旨のようですが、ライセンスや技術移転のことでしょうかね。スーパーホーネット落選について米国防省は「我々は深くこのニュースに失望している」と声明を発表しています。(flightglobal.com)

(↑ユーロファイター”タイフーン”)
 インドは空軍の為の新しいマルチロール戦闘機を物色しており、当初は中型多目的戦闘機計画(MMRCA計画)のリストにF/A-18E/F・F-16・Su-30MKI(追加調達)・MiG-35・ユーロファイター”タイフーン”・ラファール・サーブ39”グリペン”の名前が挙がっていましたが、次第にリストは短くなりラファールは「技術的評価において関門を突破できませんでした」という理由で外れ、実地試験はF/A-18F-16・MiG-35・タイフーン・グリペンを対象に行われました。Su-30MKIは既に配備されているため試験を行う必要はなしということで処理されたようです。この段階まで進んだのがちょうど2年前の今頃で、しばらく時間掛けて次第に候補を絞り込んでいましたが、最終的にタイフーンとラファール(復活してる謎。誰か詳しい人教えて。)の一騎打ちとなっています。

(↑ラファールD)
 MiG-35は採用されなかったものの、一方でインド海軍はMiG-29Kを購入しています(ロシア海軍も)。ロシア製品全体としては空母”ヴィクラマーディティヤ”(旧ソ連/ロシア空母バクー)や現在も続いているSu-30MKIにPAK-FA(スホーイT-50)の共同開発、タルワー級フリゲートそしてアクラ級原潜”ネルパ”のリースなどインドはロシアと大きな軍需関連の契約を行っています。このような結びつきが崩壊した結果がMiG-35という訳ではないし、これからも両国は仲睦まじく暮らしていくだろう、とarms-expoは締めくくっています。


(↑Su-30MKI)
 中型多目的戦闘機計画は大量に更新時期を迎えるMiG-21を代替するものですが、個人的にはこの段階でMiG-35が落選するのは意外でした。最終選考段階まで残るのはSu-30MKIかMiG-35とタイフーンだと思ってましたので。あるいは技術移転の条件次第ではF/A-18も残ってくるだろう位には考えていましたが。まさかロシア系の機体が全滅しよりにもよってあのラファールが残ってくるとは・・・・・・インド空軍にはまだミラージュ2000が在籍しているのでその時の装備(ミサイルだとか耐Gスーツだとか・・・・!フランスがインドにも戦闘機とこいつらをセットで売りつけてるのかは知りませんが)を活かせるので然程ラファールは不利でないのかもしれません。もっともやはり高いのですが、タイフーンもそれなりの値段ですからね。なんならイギリスからトランシェ2のお古をもらいますか?