中国海軍のフリゲート艦がレーダーを照射する事案が発生

 などと不審者の目撃情報なら報道されるところでしょうか。各所でも既報の通り、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊護衛艦及び艦載ヘリに火器管制用レーダーを照射する事件が発生しました。
 
 防衛省の報道資料によれば、1月30日に海自第七護衛隊の護衛艦”ゆうだち”(DD-103)がジャンウェイ2級(江衛2型)フリゲートからレーダー波を照射され、1月19日にも第六護衛隊の護衛艦”おおなみ”(DD-111)の艦載ヘリがジャンカイ1級(江凱型1型)フリゲートからレーダー波の照射をうけたとのこと。
 護衛艦は「東シナ海の公海上」で活動をしており、尖閣諸島周辺で任務を遂行していたと言われており、中国海軍が火器管制レーダー(射撃管制レーダー・射撃照準レーダー等とも)でレーダー波を照射するということは明らかな挑発行為です。
 この行為が共産党からの指示で行った「党公認」の挑発ならば、交戦まで至るかは別としても中国は日本との間に緊張関係を作り出すことを望んでおり、海軍の少なくとも東海艦隊はきちんとした規律の元行動しているであろうことが伺えます。
 仮にこれが現場の独断で行った行為であれば、中国海軍の規律は緩んでおり幹部の教育がきちんとできておらず、また憂さ晴らし的な意味を込めているのなら現場の不満も溜まっていることでしょう。
 しかし、中国版ツイッターこと微博では、このニュースが紹介されるとたちまち話題になったものの中国当局は削除などの規制を行なっていないため、仮に照射が偶発的行為であっても中国共産党にとっては不都合な展開ではないのだと思われます。
 
 さて、「ゆうだち」にレーダー照射したジャンウェイ2級(053H3型フリゲート)ですが、防衛省の発表した写真からハルナンバー522の2番艦「連雲港」、ヘリにレーダー照射したジャンガイ1級(054型フリゲート)はハルナンバー526の2番艦「温州」だと判明しています。両者とも汎用フリゲートで、ジャンウェイ2は中国海軍のワークホースで日本で言うあさぎり型DDの様な艦ですが排水量は2300t程にとどまります。ジャンガイ1はジャンウェイ級を大型化した汎用艦でサイズ的には4000tクラスで駆逐艦とほぼ同等です。054A型ではエリアディフェンス能力を持つ防空艦になりましたが、054型はジャンウェイ2と武装はほぼ同じです。
 「ゆうだち」にジャンウェイがレーダー照射を受けた時、両艦の距離は約3000mだったそうです。3000であればSSMの最小射程内であるのはほぼ確実なので今回に限ればあくまでも「挑発」に過ぎないことは明らかです。もし護衛艦と本気で交戦するのであれば自らも被弾する恐れのある主砲射程内に入る必要はなく、自艦の捜索レーダーが護衛艦を探知した時点でSSMを撃てば比較的安全です。
 ジャンウェイ1型の主砲・SSM管制はMR-34(344型)で行なっており、これは中国の西安导航技术研究所で開発されたものです。2目標を同時に追尾可能で、詳細なスペックは不明ですがIバンド・Jバンドを利用するようです。また、ジャンガイ1型も同じレーダーを使用していますが、最新鋭の054A型(ジャンガイ2型)は主砲はTR47Cで管制しているため今回収集したデータは流用出来ません。
(中途半端だけど疲れたからここまで)