米軍ヘリがロイター通信スタッフを含む民間人を攻撃した映像が公開される

2007 年 7 月 12 日にイラクバグダッドで起きた、米軍が民間人に対し武装/攻撃ヘリで攻撃を行った映像が公開されました。

 映像はWikileaksで公開され、Youtubeでも見ることが出来る(Youtubeは年齢制限のため要ログイン)。

 この時の攻撃で10名以上の民間人が死亡していますが、その中にロイター通信のスタッフ(ジャーナリストの Namir Noor-Eldeen <22 歳> と運転手の Saeed Chmagh <40>)が含まれていました。ロイター通信は情報公開法に基づいてこの件の映像を公開するように以前から求めていました。が、米軍が当然動くはずも無く約3年の月日が流れました。今回、当時の映像が公開される運びになったのは軍内部からヘリのガンカメラの映像の提供があったためだそうで、資料と共に WikiLeaks に密告されました。

(旧西側の代表的な攻撃ヘリAH-1"コブラ"。写真は陸自所有AH-1S)
 
 /.Jでは「National Post の記事はジャーナリストが構えたカメラがグレネード・ランチャーの類と見間違えて攻撃を開始したように見受けられると伝えている」と記述されています。確かに、ジャーナリストの行動は軽率であったでしょう。また”怪しい物体”をこっちに向けられた米陸軍のヘリが攻撃を加えたのも仕方ないことでしょう。これが戦争というわけです。ヘリが自分たちの安全をはかるためにジャーナリスト達に対して攻撃を加えたことは仕方ありません。人間は死ぬのが怖いですから。ですが、事はそう簡単に割り切れるものでもありません。それ故にこのような事態に対して左翼は騒ぎ立て、右翼も騒ぎ立てるのです。少なくとも、この件に関してどちらが原因なのか判断するのは非常に困難でしょう。

 ただし、米軍の名誉のためにもこれだけは言っておきましょう。テロリストは”普通の民間人”です。もちろん民間人=テロリストなのではありません。ですが、テロリストが”テロリストらしい格好”をしていることはまずありません。彼らはごく普通の民間人の格好で突然、個人携行型対戦車弾や携行SAMで攻撃を加えてくるのです。"RPG"などの個人携行型兵器の名前を聞いたことがある人は多いでしょう。彼らはそのような兵器で攻撃してきます。大きな威力を持っていない代わりに、それは小型で比較的楽に持ち運ぶことができるのです。故に、事態はさらにややこしくなるのです。もし米軍が攻撃を加えた”テロリスト”が唯の民間人であったらそれはテロリスト側にとってアメリカ叩きの格好のネタになり、それを恐れて攻撃を加えなかった場合は米軍の一部が殺される結果になるのです。

(陸自の110mm個人携帯対戦車弾。かの有名なドイツのパンツァーファウスト3をライセンス生産したもの。テロリストの標準的な戦闘スタイルはの1つはこのような感じでしょう。)

 ・・・まぁ、アメリカもアフガンのゲリラだとかにスティンガー歩兵携行SAMを渡してるんですがね。一応細工を施して寿命を縮めてあったようですが、あっさりと直されてしまいました。そして、アフガンのスティンガーは米軍のヘリに対しても発射されていますし、そこらを飛ぶ旅客機を打ち落なんぞ朝飯前です。つまり、少人数で簡単に運用できる兵器はテロリストの手にわたると恐ろしいことになるということです。日本が武器を輸出することが出来るようになった暁でも、このような兵器を輸出してはいけません。このような兵器を輸出しないことも”平和国家”の形態の一つでしょう。