ロシアはインド海軍のディーゼル潜水艦をアップグレードする

 6月7日、イタルタス通信。

 船舶修理施設「スター」(Звезда)でロシアはインド海軍のディーゼルエレクトリック潜水艦をアップグレードするようです。近代化改修を施されるのは「S63 シンドゥラクシャク」(INS Sindhurakshak)。スターがインド海軍のキロ級を近代化するのはこれで5隻目。

(↑イランのキロ級)
 契約はニューデリーで調印され、スポークスマンは「シンドゥラクシャクの近代化の契約はインド側がロソボロンエキスポートの仲介なしに直接署名しました。」と語りました。

 シンドゥラクシャクの近代化には2年〜2年半かかるということです。7月下旬には潜水艦はインドから「スター」の有るセヴェロドヴィンスクへ回航されるとのことで、「スター」はこれまでにもインド海軍に就役していたキロ級潜水艦(Project 877EKM)4隻を近代化しています。「スター」は普段、原子力潜水艦の修理・解体に使用される施設です。なお、「スター」はインド海軍が保有するキロ級の近代化改修に関して委託されているようです。

(↑3M-54E1対艦ミサイル。何故か後ろにCanon EOS 20Dが。)
 
 インド海軍が保有するキロ級はロシア海軍保有するキロ級(Project 877/国内愛称ワルシャワンカ)のインド海軍向け輸出型です。当初10隻を購入予定でしたが、購入数が削減され8隻を購入しました。が、1990年に2隻が追加発注されて1997年と2000年に引き渡されています。今回改修を受ける「S63 シンドゥラクシャク」は追加購入された艦の内の1隻で、1997年に引渡された9番艦です。近代化改修の主な内容は新しい潜対艦ミサイル「クラブS」を運用可能にすること、ソナーの近代化、通信機器の更新などです(ちなみに最後に引き渡された10番艦はクラブSを運用可能と言われています)。「クラブS」は新型対艦巡航ミサイル複合体「クラブ」(Клуб)のうち水中発射型の事。ちなみに水上発射型は「クラブN」と呼ばれます。このミサイルは対艦ミサイルと銘打たれていますが、対地攻撃バージョンもあります。中間誘導には慣性航法装置とGLONASS(ロシアのGPSアメリカのナブスターに相当)を併用。終末誘導はアクティブ/パッシブ複合方式。なお、インドに輸出されているのは3M-54E1と呼ばれるタイプで、超音速突入能力が省かれた完全な亜音速巡航ミサイルです。3M-54Eというタイプには突入時にミサイル先端が分離しマッハ2.9まで加速するモードが備わっています(分離させずに亜音速で突入させることも可)。分離させた場合は終末誘導は行われませんが、マッハ2.9で飛翔する物体を目標が迎撃・回避することは困難だろうという推測に基づいた設計でしょう。ちなみに、クラブN・Sは今のところロシア海軍では運用されておらず輸出専用ですが、新鋭のラーダ級には搭載される可能性も有るとのこと。先日情報世界を駆け巡ったロシアの対艦ミサイル内蔵コンテナに搭載されるとしていたミサイルもクラブ(改良型のクラブK)です。で、クラブには対潜型もあるんです。91RE1だとか91RTE2とかがそれです。91RE1はロシア海軍の新型SSNヤーセン級にも搭載される予定で、現用のヴォドバト対潜ミサイルの後継になります。

(↑現役を引退したフォックストロット級)
 ・・・・・・クラブSの話題で盛り上がりすぎましたね。クラブSよりもキロ級について書けと。クラブに関してはこちらも参照してくださいねー。キロ級はもともと自国の沿岸防備などを意識して建造されたクラスで、アメリカ帝国みたいに潜水艦を全て原子力化する余裕のなかったソ連海軍では原潜とのハイローミックスの構成も想定されていました。もともとは自国用ですが、友好国への輸出も考慮されていました。言うなれば、フォックストロット型やロメオ型の後継です。1番艦は1982年に就役しています。

 そういや日本時間で言う本日未明にiPhone4が発表されましたが、前面にカメラが付いたのは意外でした。「付かない」という予想が結構多かったですし、付くと予想されていた場合でも確率も低いとされていましたから。LEDフラッシュも追加装備。フラッシュの品質がまともなことを祈ります。