ロシア空軍は4つの任務を1つの機種に統合する

 今日も更新をサボるつもりだったのですが、なにやら不穏な空気の漂う記事を見つけたのでえっちらおっちら更新することに。

 なんでもロシア空軍は来る年に航空機の種別を再編するとか。なんか途方もない話しすぎてまるで実感無し。公表した大法螺吹きはロシア空軍司令官のアレクサンダー・ゼリン大佐。彼によると、ロシア空軍は爆撃機、対地攻撃機偵察機、迎撃機の種別を廃止し、これらの機体が担っていた任務を1種類の機体に統合させるようです。戦術的な航空機。один род - оперативно-тактическую。

 大佐は統合の理由を一つに第5世代ジェット戦闘機のPAK FA(=スホーイT-50)のテストが上手く行ってることを挙げました。「これらのマルチロールファイターは対空目標も対地目標も攻撃することが可能です。なので、これら4種類の機体にそれぞれ任務を振り当てておくことには何の意味もありません。この新型機(スホーイT-50)は2015年から配備させることが出来ます。」彼は強調しました。

(↑スホーイT-50)
 個々の戦術軍の戦略輸送機、陸軍航空部隊はそのままでメスは入らないようです。空軍指揮官はこの1年の間に何かの変化があるだろうと新聞にコメントしました。

 文章を読んでいてよく分からなかったのは、「従来の機種を廃止して新しい統合型の機体を作る」のか「スホーイT-50にこれらの任務を負わせる」のかという点。おそらく文脈からしスホーイT-50に任務を負わせるのでしょうが、どちらにも取れるような文章だったように思います。にしてもPAK FA(こっちのほうが楽でいいです)に爆撃・攻撃・偵察・迎撃・戦闘の任務を統合させるのだとしたらとんでもない計画ですよこれは。米軍風に言うと、スホーイT-50は「YRFAB-50」なんて呼称されてるところですよ(試験機段階なのでYをつけておきました。あと米空軍では迎撃機もFの任務記号を使用します)。空力特性のよろしく無い普通のステルス機に全任務を統合・・・・そりゃ遠距離でのミサイル打合合戦だと有利でしょうが、整備面や(量産効果が著しく出るとはいえ)コスト面でロシアは耐えることができるのでしょうか・・・・・不明。もし別の機体を用意するのだったらそれはそれで楽しみですがその可能性は薄いですね。まあ、どっちにしろ輸送機まで統合するのは無理ですwまさか、ジョーク記事?

 スホーイT-50はPAK FA(前線航空隊将来航空複合体)の名称で開発された第5世代ジェット戦闘機。F-22の性能と同等もしくは上回ることを目標にして開発され、非常に小さいレーダー断面積、射程の長いレーダー、長大な航続距離などが目指されています。今までのところ(ロシアにしては)かなり順調に開発が進んでいます。F-35A・F-35Cよりも早く就役しそうな勢いです。なお、スホーイT-50はアメリカ的なステルス機で件のプラズマ・ステルス機ではありません。丸投げのようですがそうする方が確かな情報が手に入るでしょうから、T-50に関してはこちらも参照。

(↑Mig-29K)
 と、なれば「軽艦上戦闘機」なる名目でロシア海軍航空機部隊に採用されるはずのMig-29Kは存続するわけですから、海軍では万能機(?)なスホーイT-50とそれを補佐するMig-29Kという体制で運用されるのでしょうかね。