F-15SE実機飛行/AIM-120発射テスト

 既に各方面からの情報を掴んでいることと思いますが、ボーイング社のジェット戦闘爆撃機"F-15SE"の実機がセントルイスで日本時間の2010年7月10日未明に初飛行しました(プレスリリース)。

 飛行したのはF-15E1という名称の機体で、約80分間のフライトを行った。左側のウェポンベイ(Conformal Weapons Bay)の開閉、ミサイル発射前段階までのデモを行ったようです。このF-15E1の写真を見たところ、垂直尾翼は傾いていないのでコンフォーマル・ウェポンベイのテスト機なのかもしれません。少なくともステルス性実証機ではなさそうです。”F-15E1”っていう名称からしてもフルスペックではまず無いでしょう。で、この時にはAIM-120のダミーを搭載していて発射は次の週に行うとされました。


 そしてF-15SEからAIM-120の発射テストが行われました。もちろんCWBからの発射です。

 発射は成功しましたが、御覧ください。

 ロケットモーターの噴射炎が見事に水平尾翼にかかってます。これじゃ尾翼を痛めちゃうので改善の余地ありです。ということは強行実験だったのでしょうか?”とりあえず実験しちゃえ!”って。F-15SEが完成形に成るのはまだ先のようです。

 F-22F-35の場合は完全新規設計なのでウェポンベイのことを考えて機体を設計することが出来ますが、F-15EをベースにするF-15SEの場合はそうは行きません。配置の都合上インテーク側面(コンフォーマル燃料タンクと場所を共用)にCWBを配置した結果、噴射炎が水平尾翼にかかってしまったのでしょう。

 米空軍の方針では、新規購入するのは第5世代ジェット戦闘機のみで、第4.5世代機には手を出さなのですが、米議会の一部ではF-35の開発停滞とコスト上昇を危惧してF-15SEやF-16 Block 60を繋ぎで導入すべきだという声も上がっています。F-15SEも注目の機体です。なお、F-16 Block60とはいわゆるF-16E/Fのことで、F-16の最新型ですが現在米空軍で採用の予定がないため輸出専用になっています(ロシアでいうクラブミサイルみたいな状況)。同機を導入しているのはアラブ首長国連邦のみですが、軽戦闘機のF-16にこれでもかと装備を盛り込んだのでかなり大柄になっています・・・・・。

(↑F-16E)
 現在各国の第5世代ジェット戦闘機は

アメリカ・・・・F-22F-35
*ロシア・・・・・T-50(PAK FA)
*中国・・・・・・J-XX
*(日本・・・・・心神

このうち日本の心神は戦闘機ではありませんし、J-XXが本当にステルス性を備えるのかについては議論が分かれるところです(本当に中国は第5世代ジェット戦闘機を生産する技術と能力を持っているのか?など)。そんな中実際に第5世代ジェット戦闘機を何らかの形で飛ばしているのはアメリカとロシアだけですが、ロシアもやっとT-50(PAK FA)を飛行させたに過ぎません。配備が予定通りに行くかどうかはまだなんともいえない状況です。F-35はB型以外はグダグダでF-22は生産打ち切りへ、となればCTOL型でステルス性を備え第5世代ジェット戦闘機に匹敵する能力を持つ機体はF-15SEだけになっちゃうと。とは言え、さっきの書き方に矛盾するようですがF-15SEも実質CWB実験機なF-15E1が飛んだだけなのでT-50に開発状況で劣ってるということも出来ます。第5世代ジェット戦闘機に手を出すか、手堅く第4.5世代で行くかは各国で対応が分かれつつあり、日本も何れそれを決めなければなりません。F-15SEはF-15ベースなので基礎設計はかなり古くなりますが手堅い選択ではありそうです(この先頓挫しなければね)。韓国のF-15Kの動きも気になるところです。F-15Kはそろそろ配備計画が完了されるわけですが、F-15SEのCWBがコンフォーマル燃料タンクと交換式なのを考えると”ステルス化キット”なんか作って韓国に売りつけそうです・・・まあこれはあくまでも唯の想像ですが。今の視界外でのミサイル打合合戦ではステルス機が大きなアドバンテージを持つのは事実なので周辺国がどう動くかが問題です・・・・・というか今の戦闘スタイルがそうそう変わるとも思えないので買えるなら第5世代機買えればいいんですが、高い・(開発が)遅い・(F-4退役に間に合いそうになくて)まずいと3拍子そろった状態で・・・・しかも、第5世代機の運用情報がアメリカ以外では全く無いのですよ今は。メンテナンスの問題とか色々と大事なことはありますが、そのあたりの情報も加味して選びたいところです。高い買い物ですから。でも、それじゃF-4に間に合わないガガガガ・・・(最初に戻る)。困った話です。