ロシア海軍新型SLBM「ブラヴァー」の試射は今週中に行われる

 最近こんな話をよく聞く気が・・・・。

(↑猪突猛進するブラヴァー)
 秋幸華(チゥ・シンファ)様が”「今週、今年初めての「棍棒」の発射試験を実施するだろう」と宣言したとのことでありまする。”とコメントで転がり込んでこられたのでいつもの如く貧弱な武装で出撃してまいりました。ソースは新華社/Flot.com/Вести(4日/6日)

 10月4日月曜日、ウラジミール・ヴィソツキー(ладимир Высоцкий)ロシア海軍最高司令官は「今週、今年はじめてのブラヴァー(ブラバー/Булава)の試射を行うだろう」と宣言しました。彼はイタル・タス通信の取材に応じて「私が確信していないなら、活動を計画する必要さえ無いでしょう。(中略)私たちはブラヴァーが無事飛行することを望んでいます。」と語り、慎重に試射の準備を進めていることを明らかにしました。

 Flot.comの記事では参謀本部の代表が「最悪の状態に直面している」と注意を促している旨が書かれていますが、それは試射をするたびに不具合が次から次へと発見される状況に対して発せられた言葉であってブラヴァーが絶望的状況に追い詰められている訳ではないようです。これまでも米海軍のSLBM”トライデント”の開発進捗状況を引き合いに出して「ブラヴァーは失敗作と決まったわけではない」と高官達も主張しています。

(↑トライデントIIミサイル試射の様子)
 ブラヴァーの最初の試射は2004年の9月に行われました。以来6年目に突入していることになりますが、これまでに12回の試射が行われているので平均で年に2回は試射されていることになります。最後の試射は2009年12月に行われたので約10ヶ月間試射が行われていないことになります。平均して年2回試射という数字を考えるとこのブランクはなかなか長いものでしたが、試射を行うという話は今年5月頃から話があっては延期されてきたので全く闇に葬られていた訳でもありません。今年に入ってからの試射をするというニュースは大抵の場合代理人が告知していたものなので、今回の海軍最高司令官の宣言はかなり信憑性が高い部類に入るでしょう。

 さて、10月6日付けとなっているこちらの記事では秋幸華様のコメントにも有ったとおり、まず今回はタイフーン級を改造したブラヴァー実験艦TK-208”ドミトリードンスコイ”で試射を行った後(なんでも木曜日に試射がある可能性が有るとか)、成功すれば1ヶ月〜1.5ヶ月の「頭を冷やす時間」を設けて本命であるボレイ級1番艦”ユーリー・ドルゴルキ―”からブラヴァーが放たれる事になります。なお、2010年末までに3回のテストを行うことは変更されておらず、うち2回はTK-208”ドミトリードンスコイ”から試射される予定です。

 既に2段目及び3段目の不具合は修正された事になっているので今年末までの試験、特に今週行われるであろうブラヴァーの試射はミサイルにとって非常に重要なものになるでしょう(だって不具合はもうとりあえず存在しないはずなんだもん)。とりあえず不運なSLBM”バルク”とブラヴァーの兄貴分であるICBM”トーポリM”の事を思い浮かべて「13回中6回テストが成功した」と書かれるようになることを祈りつつ「集え、星の輝き スターライトブレイカー」でも聞きながら成否を待つことにしましょう・・・・。

(なんどもおんなじネタばっかりだけど、一応SLBMSLB掛けてるんだよ)

最後に:1986年の今日、バミューダ沖でヤンキー級戦略原潜K-219がR-27SLBMを抱いたまま沈没しました。犠牲になった4名の方(そして命と引換えに原子炉を封鎖したプレミニン水兵)のご冥福と以後このような事故のないことを願って。