2010年最後の”ブラヴァー”の試射は12月なの?

 flot.comの記事によると、ロシア海軍のスポークスマンは今年最後の試射になるであろう次のブラヴァー発射の時期について「最後の試射(10月29日の発射)のデータの分析作業が完了すると、正確に第三のミサイル発射日が決定されるだろう」と語ったようです。彼は更に、次の試射は12月中に行われるかもしれないと語りました。

 情報筋は、2010年のブラヴァー試射の成績が成功だと判断された場合は来年五月にブラヴァーのテストは第二面に入るだろうと強調しました。さらにその情報筋は続けて、「2010年最後のテストが上手く行った場合、2011年最初の試射は”ユーリー・ドルゴルキ―”から行われるかもしれない」と語っています。が、以前「2010年末までに行われる3回の試射のうち2回は”ドミトリー・ドンスコイ”で行われる」と報じられた事があるので”ユーリー・ドルゴルキ―”の登場は来年までまた無くてもいい可能性もあります(逆も然りです)。そりゃこの段階にまで来て”ドミトリー・ドンスコイ”以外で試射を行うとなればブラヴァーの正規搭載艦である”ユーリー・ドルゴルキ―”しか考えられませんから。でもこれはあくまでも予定ですし、表現が「”ユーリー・ドルゴルキ―”から行われる」という明確なものでない点からも確実と言い切れるかどうかは若干心許ないです。

(↑”ユーリー・ドルゴルキ―”)
 さらに、flot.comの記事の続きによれば、98.5%〜99.5%の信頼性係数を取得しない限りブラヴァーの実戦配備への道は開けないということです。「ミサイルの運命は国防相の報告の後政府によって決められるだろう。」と情報筋は語りました。もっともこれはまだもう少し先の話です。ウラジミール・ポポフキン国防次官は「ブラヴァーは実際には100%の信頼性を獲得して海軍に受け入れられるでしょう」と語りました。ロシアにとってはブラヴァーが破棄されるともはや現在のR-29シリーズの後継となるSLBMが残っていません。文字通り”後がない”状態です。何としてでも試験を成功させて実戦配備に漕ぎ着けたいところです。幸い、久々に行われた前回と前々回の試射は成功しています。

 
 ブラヴァー(Булава)は現在ロシアが開発中のSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)で、開発が行き詰っていた”R-39UTTkhバルク(SS-NX-28)”ミサイルの開発を中止して陸上発射型のICBM”RT-2PM2 トーポリ-M”をSLBMに転用したもの。転用の理由はミサイルを設計したモスクワ熱技術研究所が「既存のICBMを流用すれば経費を節約できる」と主張したため。現在までに14回の試射が行われ7回が成功している。ミサイルの1段目及び2段目は固体燃料を使用するが再突入体が突入する際に必要な機動性を確保するため3段目には液体燃料を使用する。また、低高度飛行特性を有するともされる。現在、海中からの試射にはタイフーン級1番艦を実験用に改造したプロジェクト941UMのTK-208”ドミトリー・ドンスコイ”で行われているが、本来の搭載艦はプロジェクト955ボレイ級。
ブラヴァー主要目】
システム名:3М14 <Булава> DoD番号:SS-NX-30 国際協定使用呼称:RSM-56
射程:約8000km 発射重量:36.8トン ペイロード搭載量:1150Kg 全長:(コンテナからの射出時で)12.1m 弾頭部を除いた長さ:11.5m 弾頭搭載数:6〜10発