ロシア行政のコンピューターはフリーソフト(OSS)へ移行する

 スラッシュドットジャパン(/.J)の記事によるとプーチン首相が”「GNU/Linux 移行令」発令”を発令したようです。

 プーチン首相が政府当局や政府予算機関のフリーソフトウェア(OSS)への移行計画に署名したということですが、ここで言う”フリーソフト”とはいわゆる”無料で使えるソフトウエア”のことではなく、OSSつまりオープンソースソフトウェア(OpenSourceSoftware)のことです。

 この計画では、システムの移行は2011年から2015年にかけて行われます。実際の移行の詳しいスケジュールはこちらMS-Word(97-2003)形式で公開されています。この資料には”将来的には市民サービスなどがフリーソフト(OSS)をベースとしたシステム上で行われるようになるだろう”などと述べられており、このプロジェクトの為の教育施設を設立しメンテナンスやアプリケーションの開発などもそこで行うようです(かなり斜め読みですが)。世界で最も有名なOSSの一つであろうLinux(GNU/Linuxと呼ぶほうが正しいかどうかでさえ大論争を巻き起こします)は政府では2012年2Q(第2四半期)から始まります。第2四半期は日本では7月〜9月を指しますが、ロシアでもほぼ同じようです。

 /.Jの記事では最後に”ロシアでは過去にも教育セクターにおいてフリーソフトウェアの使用を推し進めようとしたが、政府のバックアップが十分でなく失敗に終わっていた。”と述べていますが、今度は政府の全面的バックアップの元推し進めていくようです。米国防省もオープンソースプロジェクト開発推進を行っていますが、軍事分野ではGPLのようなライセンスの適用されるソースコードを用いた場合は作成したコードもGPLで公開しなければならない(コードのGPL汚染)ので、兵器そのものの制御回路等への使用はまず有りません。ですが、事務処理や各種シュミレーションの演算などの用途など使用可能な分野も当然あり、使い方によっては経費を削減することも可能です(ただし下手な導入を行うと却って手間や経費が増える可能性もある)。特に、軍事分野ではC4Iシステム導入とかでコンピューターの新しい使い方が広まりつつ有りますし試せることは試したいのでしょう。C4Iシステム自体にOSSを導入できなくても他の官公庁と事務的なシステムを揃って共通化出来れば経費削減にもちろんなりますしね。自治体などの行政がOSSを導入するのは”経費削減”を目的に最近流行りになっていますが、きちんと見通しを立てて導入してもらいたいものです・・・・。(ちなみに、ライセンスの大半はGPLほど厳しく有りません)