最初のミストラル級2隻は太平洋艦隊へ配備される

 RIAノーボスチ:最初の二つ"ミストラル"は太平洋艦隊に配備する予定です
 http://rian.ru/defense_safety/20110209/332397885.html

(概要)

 2011年2月9日[モスクワ]
 最初の2隻のヘリコプター搭載揚陸艦ミストラル”は太平洋艦隊に配備されると国防省の情報源がノーボスチに伝えた。
 国防相アナトリー・セルジュコフとドミトリー・メドベージェフ大統領と地域開発相ヴィクトル・バサルギンが安全のためにロシア連邦にとって不可欠なクリル諸島に近代的な軍事力を提供する必要があると宣言した。セルジュコフは二月末までに軍備増強を検討するよう国防省に指示した。

 「ミストラルは竣工後、太平洋艦隊で使用する予定です」国防省の関係者は語った。
 ロシア海軍上層部は地域の重要性とクリル諸島カムチャッカ半島の長い交通路を保護するために最初のミストラル級2隻を太平洋艦隊へ配備することを決定した。加えて、艦隊の代表者によると太平洋艦隊には新しい船が補充されていない。

(↑保管艦状態の太平洋艦隊イワン・ロゴフ級2番艦)

 やはり最初のミストラル級は太平洋艦隊に配備されるようです。合計4隻のミストラル級のうち、最初の二隻はフランスのアトランティーク造船所で、後期の2隻はアドミラルティ造船所で建造される予定です。ロシア向け1番艦が就役するのは2014年初頭、2番艦は2014年後期〜2015年初頭と見られています。
 日露両国の外交の最前線に位置する南クリル諸島(北方領土)ですが、ミストラル配備は外交的な圧力の一環としてだけではなく、太平洋艦隊の老朽艦代替・戦力補充の意味もあります。太平洋艦隊の第100揚陸艦旅団にはロプーチャ級4隻、イワン・ロゴフ級1隻(保管艦状態)・アリゲーター級(修理中)の合計6隻が在籍していますが実質的な戦力はロプーチャ級4隻です。ロプーチャ級は西側で言うところのLST、”戦車揚陸艦”であり日本・韓国・アメリカ・中国のような先進的なドック型揚陸艦よりも揚陸能力が劣ると言えます。ヘリコプターやエアクッション艇(←すでに退役してますが)を搭載できるためソ連・ロシア唯一の強襲揚陸艦といえるイワン・ロゴフ級ですが、3隻建造されたうち現在実働状態にあるのは北方艦隊の3番艦のみです。従って、ロシアには極東地域での存在感強化・領土問題での対日戦略・有事の迅速な戦力展開の為に新しい揚陸艦が必要です。ただし、ロシアもフランス製のミストラル級のみに頼るつもりはなく現在の段階でもプロジェクト1171.1”イワン・グレン”級を建造中です。イワン・グレンは強襲揚陸艦(ミストラル)というよりはヘリコプター搭載型LSTです(アリゲーター級の発展ですから)。このクラスは将来的にロプーチャ級を置き換えることになります。