ロシア海軍はNATOとスペインで”ボールド・モナーク-2011”演習を開始した

 1月に今年のロシア海軍の演習参加方針でも書いたように、ロシア海軍も参加するNATO諸国主催の演習「ボールド・モナーク 2011」(Bold Monarch 2011)が開始されました。なお、この演習にロシア潜水艦が参加するのは初めて。(flot.com)

(↑潜水艦アルローサ)
 ”ボールド・モナーク”演習は潜水艦の救難を想定した演習です。演習は5月30日から6月9日まで行われ、スペインの港”カルタヘナ”を根拠地に行われます。船舶・潜水艦・航空機が参加し、演習参加国はアメリカ、イギリス、スペイン、イタリア、オランダ、ポルトガル、フランス、ノルウェーギリシャ、トルコを含む20のNATO諸国とロシアです。
 「ロシア黒海艦隊の潜水艦”アルローサ”と水中特別作業調査隊(EPRON)の救助船、KIL-158は5月25日にカルタヘナへと到着しました」国防大臣の代理人は語りました。(KIL-158は5月27日に到着したようですが)

 「KIL-158は最新の遠隔操作無人潜水艇パンサーPlusを装備し、従来型よりも容易に救助を行うことが出来ます。これらは最新鋭の水中捜索救助システムです。」彼は語りました。今回はさらに水中作業のスペシャリストである水中特別作業調査隊(略称EPRON)も同行するわけです。「潜水艦アルローサは訓練のために海底へ向かって沈んでいくでしょう」彼は語りました。どうやら着底した潜水艦からの救助を想定しているようです。
 なお、水中特別作業調査隊の最初の出番は6月1日だということです。

(↑KIL-158)
 潜水艦救難演習”ボールド・モナーク”にはこれまで度々参加していますが、参加部隊は基本的に黒海艦隊から派遣されることになっています。中核となるのは黒海艦隊唯一の潜水艦であるプロジェクト877のポンプジェット潜 B-871"アルローサ"で、俗にいう”キロ級潜水艦”です。アルローサを遭難した潜水艦に見立てて、それを救助する艦船は入れ替わって派遣されています。例えば、ボールド・モナーク-2008では有人潜水艦救助艇AS-34にその母艦である救難艦”チトフ”が参加していますが、今回は潜水艦アルローサに、より進化した無人潜水艇”パンサー Plus”とその母艦”KIL-158”が参加しています。キリル文字で表記するとKIL-158はКИЛ-158となりますが、艦名は付けられていないようです。

(AS-34)
 ちなみに、AS-34はクルスク救難の際、クルスクへ接近したにも関わらず機密性を確保できず乗員の健在を確認したのみに終わった救難艇です。ですが、改修を受けているので、ボールド・モナーク 2008ではオランダ海軍潜水艦”ドルフィン”(HNLMS Dolfijn S-808)とノルウェー海軍潜水艦”ウートハウグ”(HNoMS Uthaug S-304)から救難を行っています。
 また、NATO諸国は以前は潜水艦保有国が独自に潜水艦救難艦を運用していましたが現在では共同で”北大西洋条約機構潜水艦救助システム”を運用しています。