SLBMブラヴァーは2011年後半〜2012年に採用される?

 国防省報道官は「ブラヴァーの試射が5回成功した場合、ミサイルは2011年から2012年の間にロシア海軍に採用されるだろう」と記者団に語りました。(RIAノーボスチ

 「良好なテスト結果を残した場合、ミサイルは2011年の終わりから2012年初頭にかけて採用されるだろう」彼は語りました。彼は試射が製造スタッフと監視委員会の監督のもと行われることを強調した。

 
 断片的ながら、ブラヴァー今年のブラヴァー試射に関する情報も入ってくる季節に成りました。ブラヴァーは白海で試射を行う都合上、季節によっては海氷が障害となるので毎年6月以降に試射を開始するのが通例です。従って、これから試射を行うと、どれだけ早く見積もってもブラヴァーが採用されるのは盛夏以降、順当に考えると秋以降になるはずです。
 また、採用を見越してブラヴァー実験用のTK-208”ドミトリー・ドンスコイ”(プロジェクト941UM/改タイフーン級)ではなく、本来の搭載艦であるボレイ級(プロジェクト955)の1番艦”ユーリー・ドルゴルーキー”で試射が行われる割合も増えることでしょう。

(↑タイフーン級)
 ブラヴァーはロシア海軍タイフーン級のR-39ミサイル以降で初めて就役させるであろう従来型潜水艦発射型弾道ミサイルを改良したのではない、新設計のSLBMとなります(とは言え陸上型のトーポリMの改型なんですがね)。
 技術的には成功したものの、その巨大さ故に既存インフラの大幅改良が必要で実際の運用面では困難も伴ったR-39 SLBMウクライナの分離独立のため新規供給が不可能と成り、さらにアメリカのトライデントII D-5に対抗する為にR-39を発展させる形で開発していたSLBM、R-39UTTkhバルク(SS-NX-28)が予算を超過する(というか予算が根本的に不足していた)という自体に直面したソ連崩壊間もないロシアはバルクをキャンセルし「既存のミサイルを潜水艦対応型に改良すれば経費を削減できる」と主張したモスクワ熱技術研究所の案を採用し、同研究所の開発したICBMであるRT-2PM2”トーポリM”を潜水艦用に改造したミサイルを開発することとなった。これが
ブラヴァーであり、”バルク”対応の為の近代化改修を受けてプロジェクト941Uとなったタイフーン級1番艦ドミトリー・ドンスコイが皮肉にもブラヴァー実験艦のプロジェクト941UMへと改造された。実際にミサイルを運用する潜水艦としてはプロジェクト955”ボレイ”が開発された。

(↑ボレイ級”ユーリー・ドルゴルーキー”)
 ブラヴァーの試験は14回行われ、うち7回が成功しました。最後に行われた試験は現時点で2010年10月29日のものです。ブラヴァーは今後のロシア海軍水中戦略部隊の主力を成すミサイルです。ブラヴァーの特異な点は、1及び2段目は固体燃料を採用し、3段目は再突入時の機動性確保のため液体燃料を採用する点です。また、低空飛行特性をもちます。

 ブラヴァーを搭載するのはプロジェクト955/955A ”ボレイ級”です。現在1番艦の”ユーリー・ドルゴルーキー”が竣工していますが、2番艦”アレクサンドル・ネフスキー”に3番艦”ウラジーミル・モノマーフ”が建造中で、最終的には同型艦・準同型艦を合わせて2015年までに8隻を建造する予定。プロジェクト955と955Aの判明している違いはミサイル搭載数で、955は16発、955Aは20発搭載します。(”アレクサンドル・ネフスキー”以降は955A)全艦がロシア連邦国営単一企業”製造会社セヴマシ”で建造されています。なんとセヴマシのトップページは”ユーリー・ドルゴルーキー”です。

【諸元】名称:R-30/3M30≪Булава≫(国際協定使用呼称:RSM-56、NATO分類呼称:SS-NX-30) 最大射程:約8,000km 発射重量:36.8t ペイロード搭載量:1.15t(核弾頭を6〜10発搭載可能) 全長:(コンテナからの射出時で)12.1m 弾頭部を除いた長さ:11.5m