新型原潜”セヴェロドヴィンスク”は試運転を行う

 RIAノーボスチの記事によると、ロシアの最新鋭多目的攻撃型原潜”セヴェロドヴィンスク”(プロジェクト885一番艦)は9月12日から試験航海を行っていると生産連合セブマシュ(セヴェロドヴィンスク造船所/第402造船所)が発表したとのこと。

 「今日は、水中に新世代の原潜”セヴェロドヴィンスク”が出港しました。これはプロジェクト885のネームシップの最初の試運転です。潜水艦はセルゲイ・ミチャエフ大佐の指揮下にあります。」情報筋は述べました。
 情報筋によると、”セヴェロドヴィンスク”はこれまでの予定通り今年末までに海軍に組み込まれるべく各種作業を行っているとのこと。計画ではプロジェクト885とその準同型艦は全部で6隻が建造されます。
 885型の準同型艦であるヤーセン改”カザン”は2009年7月24日に起工され現在建造中です。カザンは2015年の就役が目標となっているようです。

 セヴェロドヴィンスクもカザンもアクラ級等の従来艦よりも低雑音化されており、船体は流体力学に基づいて設計されその内部は10の区画で構成されています。
 当初、魚雷発射管はそれまでのソ連/ロシアの慣習に従って艦首に装備する予定でしたが、最新鋭複合水中音響システムMGK−700”アヤクス”の艦首ソナーアレイがあまりにも巨大で、米原潜などと同じように舷側に移したというエピソード付きです。この配置はヴィクター級(プロジェクト671)でも検討されましたが、結局12ノット以上で航走中の魚雷発射に問題があるとされ却下されています。それ以降セヴェロドヴィンスクまで艦首にまとめて魚雷発射管を装備するのがソ連潜の標準でした。
 ミサイルはP-800"オニクス"(輸出名称ヤホント)を装備し、専用VLSから発射します。VLSはセイル後方に8セルあり、1セルにミサイル3発、合計で24発のオニクスを装備できます。オニクスは超音速巡航が可能な射程300kmクラスの対艦・簡易対地ミサイルです。また、魚雷も新しい汎用大深度魚雷や現用のヴォドパトシリーズを置き換える91RE1(クラブミサイルの対潜ミサイル型)を装備し、兵装面は一新されています。なお、09710型(アクラ2級)同様魚雷発射管は650mmは無くなり533mmに統一され、533mm管を8門となります。
 原子炉は全く新規に設計された第4世代原子炉"KPM"が採用され、核燃料の寿命は船体寿命とほぼ同じの30年へと延長されている。

(↑対艦型クラブミサイル) 

 遂にセヴェロドヴィンスクも試運転。最近はディーゼル潜のラーダ級に新型戦略原潜ボレイ級と潜水艦を相次いで完成させていましたが、セヴェロドヴィンスクもやっとここまで来たかという感じです。起工から18年目にしてようやく就役できそうです。当然その間に技術進歩も起こってるので、”カザン”以降はそれを反映して建造されます。

【諸元】水上排水量:5,900 t 水中排水量:8,600 t 全長:111 m 全幅:12 m 喫水:8.4 m 水上速度:17ノットないし20ノット 水中速度28ノット以上 潜行深度:最大600m 乗員:90人 兵装:魚雷発射管×8、魚雷及び対潜ミサイル×30、巡航ミサイル×24