ロシア戦略原潜と地引網漁船が衝突した

 flot.comによると、アバチャ湾でロシア海軍戦略原潜K-433”シヴァトイ・ゲオルギー・ポヴェドノーセッツ”と地引網漁船”Донец”(ドネツ)が衝突しました。(flot.com-1/flot.com-2/RIAノーボスチ)

 事件は9月21日、夜のアバチャ湾で発生しました。GMT18:10に桟橋へと向かいつつ有った地引網漁船と戦略原潜K-433が衝突しました。漁船は潜水艦の船尾に衝突し当時、漁船側は戦略原潜のコースを予測したり潜水艦を視認することは(まぁ当然ながら)不可能であったということ。
 当時は天候も穏やかで、おそらく潜望鏡観測にも支障はなく波の音による聴音への影響も少なかったでしょう。もっとも、低速で航行する小型の漁船を沿岸付近でソナーで捕捉することは行ったとしてもかなり困難であったはずですが。

(↑K-433)
 インタファクス通信が伝えるところによると、原潜のある乗組員は「地引網漁船が悪い」と語ったということです。そして、太平洋艦隊司令の秘書がマスコミに語るには、当時潜水艦は浮上していて航海灯など各種灯火も規定通り点灯させていたそうです。また、無線で警告を発し発光信号(?)でも呼びかけたが漁船側から応答はなく衝突してしまったとのこと。また、衝突後被害の検査を行う際に漁船の船橋に船長の姿は見当たらなかったようです。
 仮にこれが真実であるなら漁船側は一転して不利になります。潜行していたなら潜水艦側に潜望鏡などでの監視義務が発生しますが、潜水艦が灯火をつけて警告を何度も発していたなら漁船にも回避行動を取る機会があったのは明白だったからです。しかも漁船乗組員はアルコールに酔っていたそうです。漁船は小型で潜水艦よりも小回りが効くでしょうが、いくら水中では水上艦より小回りが効くと言われる潜水艦とは言え衝突したK-433は水上排水量8,940tを超えるデルタIII級です。そうそう小回りは効きません。

 現在、K-433はカムチャッカ南部のヴィリュチンスクで修理が実施される予定でしたが、軍事検察官によれば潜水艦の吸音タイルは損傷したものの船体には被害がないとのこと。一方で漁船の方は被害甚大のようです(まぁ流石に排水量的にはね・・・。また、地引網漁船”ドネツ”はプロジェクト388M掃海艇 BT-459”Lenok”(1984年退役)を改造したもので、元太平洋艦隊所属艦でした。