ロシア向けミストラル級3番艦と4番艦はセヴマシュで建造される可能性がある

 12月21日、ロシア国防相アナトーリー・セルジュコフはロシアがフランスに発注している強襲揚陸艦(ロシアでは”ヘリ空母”)ミストラル級の3番艦と4番艦は大方セヴマシュで建造されることになるだろうと語りました。(RIAノーボスチ

(↑ミストラル級)
 「フランス人たちは、ミストラル級を建造するのにどこがより容易で、迅速かを決定するでしょう。もっと正確に言えば、それは”セヴマシュ”です。」彼は、ロシアは1番艦や2番艦よりやすく3番艦・4番艦を購入したいため、価格に関する一連の問題は3・4番艦に着工するまでに解決しなければならないと強調しました。

 ロシア向け”ミストラル級”ヘリ空母の1・2番艦はフランスで建造されます。6月に交わされた契約では12億ユーロを船体・電子機器・指揮管制システムなどの代金として支払うことになっています。
 ロシア向け1番艦は2014年ごろにロシア太平洋艦隊に就役する予定。2番艦は2015年にロシアに納入され、これも太平洋艦隊に配備されます。
 3・4番艦は、1・2番艦がフランス国内でフランス主導(フランス:ロシア=8:2で建造)で建造されたのとは対照的に、ロシア国内でロシアの分担比率を上げて(フランス:ロシア=6:4)建造されます。

 ロシア向けミストラル級は、今年春の段階では”アドミラルティ造船所”または”ヴィボルグ造船所”で建造することをほのめかしていましたが、その後すったもんだが有って、今回はセヴマシュで建造することを予定しているという報道が出てきました。セヴマシュは現在ボレイ級やセヴェロドヴィンスク級などを建造しており、一時は原潜建造専門となっていましたが現在では水上艦の改装も行なっており、原潜建造専門になる以前も水上艦は作っていたので大型ドックがあり水上艦の建造実績もあり、民間への波及効果もある(セヴマシュは民間の仕事も請け負っています)ということでセヴマシュが妥当だとされたのでしょうか。因みに、ロシア国産の新型揚陸艦プロジェクト1171.1”イワン・グレン”カリーニングラードのヤンタリ造船所で建造されています。

 ミストラル級は、当初フランスは船体のみを売却し指揮管制システムや電子機器は未装備のまま引き渡す予定でしたが、ロシアの要望があったため長きにわたる協議の末、戦闘情報指揮システム” SENIT-9”および作戦指揮システム”SIC-21”を装備した状態でロシアに引き渡すこととなりました。SENIT-9はフランス独自のシステムで、フランス海軍でもミストラル級のみが装備しているものです。SIC-21はNATO互換のデータリンクシステムで、シャルル・ド・ゴール級空母も装備しています。

 本級がロシアで主に”ヘリ空母”などと呼ばれる所以が広大な全通式甲板用いたヘリコプターの運用ですが、ロシア海軍ではソ連時代も通じて揚陸艦がこれほどの航空戦力を運用した前例はありません(もちろんヘリコプターを運用出来なかったのではないです)。ミストラル級は16機のヘリコプターを搭載可能で、そのうち6機は甲板の駐機スポットに止めておくことができます。ロシアの場合、攻撃ヘリKa-52Kと強襲輸送ヘリKa-29を8機づつ搭載するようです。