ロシア海軍はアイスランド製の自律型無人潜水機を購入する

 flot.comによると、ロシア国防省は7億4424万4000ルーブルで8機の自律型無人潜水機(AUV/自律型水中航走体)を購入するとのこと。ロボットはアイスランドTeledyn社(テレダイン)が製造する「Gavia」という機種です。
 
  今年中にまず3隻が就役し、のこり5隻は2013年〜2014年に就役するとのこと。
  「Gavia」はモジュール化されており、センサーを変更することで高い拡張性を得ることができるので、海軍や国境警備隊などのニーズに最適化させることが出来るとテレダイン社は主張しています。Gaviaは2人〜4人のチームで運用することができ、母船を必要としません。そのためトラックなどの自動車で海岸まで輸送あるいは小型船から直接海に下ろすだけでロボットを活動させることができます。運搬や展開や回収に特殊な器具は必要ありません。
  このとおりGaviaは高い拡張性と機動性を両立しているわけですが、というのもこの自律型無人潜水機は軍事専用に開発されたものではないからです。テレダイン社のホームページによれば、Gaviaには「遠洋型」「科学調査型」「防衛型」の3種類があり、遠洋型と科学調査型は非軍事用です。この2つは塗装が発見しやすい黄色であり、最後の防衛型はいわゆるロービジ塗装の灰色です。導入されるのは遠洋型か防衛型でしょう。
  
  ロシアも小型潜水艇に分類されるようなものは持っていますが、AUVはそれらより遥かに小型のものであり、また深海調査艇よりも遥かに浅い深度で活動します。これらのAUVはおそらく浅深度における偵察・哨戒活動に利用されます。浅深度での活動は既存の潜水艦では危険が高い、あるいは不可能ですがその点小型かつ無人のGaviaの様な水中ロボットなら人的リスクを回避できます。目標海域への輸送・投射・回収も、小型であるため容易です。さらに自律行動するため誘導や操作が不要であり、誘導を担当する部隊が危険に晒されることもありません。また、対潜水艦戦訓練(ASW訓練)で魚雷の代わりに目標として使うこともできるとされています。
  遠洋型以外は沿岸部での活動を意識しているようですがイリジウムによる通信もサポートされており、現場とGaviaではなく中央司令部とGaviaが直接同期したり指示を出したりすることができるようです。
  
【諸元】(防衛型)
全長:1.8m 重量:空気中で49Kg 直径20cm 最大潜行深度:500〜1000m 最大速力:5.5ノット 電源:1.2kWのリチウムイオン電池(交換可能) 活動可能時間:(速度設定”自動”かつ詳細探索モードで音響測定を行った場合)7時間
航法装置:磁力コンパス及びGPS オプションで慣性航法装置と長基線音響測位システムを装備可能
センサー:サイドスキャン・ソナー/カメラ/速度計/障害物探知用ソナー
通信設備:無線LAN(IEEE 802.11g)及びイリジウムによる衛星通信
ASW訓練用装備:受信及び送信可能なソナー・トランスポンダモジュール