現時点で中国はSu-35を購入しない

 RIAノーボスチの記事によると、ロシアの一部メディアの「ロシアは中国に48機のSu-35を40億ドルで売却する」という報道を中国は否定しました。
 
 「中国とロシアが48機のSu-35を購入するという契約を締結したという事は事実の基礎を欠いています。」中国国防省は書面でノーボスチの質問に返答しました。しかし一方で「中国とロシアの軍事技術に関する提携は二カ国間の戦略的なパートナーシップの重要な部分であり、それらはしっかりと育んでいる」とお決まりの回答もしています。
 
 現在、ここで言うSu-35とはSu-35S(正確には輸出型Su-35K)のことですがかつて暫定的にこの機体がSu-35BMと呼ばれていた頃、ロシアが中国にSu-35の輸出を打診したことがありました。あの時は中国の輸入したSu-33のコピーやら殲撃15の一件やらでロシアとの軍事技術的な関係が悪化しており、関係改善のためロシアが歩み寄りを見せたかのような格好でした。

(↑殲撃11B)
 中国がSu-35を導入するとなると空軍の単座汎用制空戦闘機として運用することになるわけですが中国には自称国産の自称低RCS戦闘攻撃機「殲撃11B」が存在するわけで、これと完全に役割が重なります。殲撃11Bのステルス性能はさておき、コイツはロシアからのエンジンの供給や一部アビオニクスの供給さえ行われれば中国で自給自足することができます。中国は殲撃11Bの複座型である殲撃11BSなる機体の開発も行なっているとされており、こちらは中国海軍が運用しているSu-30MKKや中国海軍の運用するSu-30MK2に匹敵する大型の戦闘攻撃機になるという噂もあります。中国軍は、緊急時の安定した供給のため、あるいは技術取得のため可能な限り機体や部品の国産化・脱ロシアを目指しており、国産で代替を得られるSu-35を輸入する必要は無いと判断したのでしょう。また、Su-27SKをベースとした殲撃11の導入時からロシアは中国の技術水準向上を警戒していた節があり、エンジンやアビオニクスなど多くの部品のライセンス生産を許可せず中国に輸入させました。現在の中国空母の着艦ワイヤーもそうですが、このように中国にとってロシアからの輸入に頼ることは不都合なため、Su-35より殲撃11Bに重きを置いても全く不思議ではありません。