An-124”ルスラン”輸送機のエンジン近代化計画

 An-124アメリカのC-5輸送機に相当する東側の機体で、登場以前は技術的困難からこの種の大型輸送機に必要な高出力・高バイパス比のエンジンのジェットエンジン開発が行えなかったためAn-22がその任にあたっており、より大型の輸送機としてAn-124が1980年台に就役を開始した。
ファイル:Antonov An-124 EFHK.jpg 
(↑An-124)
 搭載されたエンジンは、1970年台に開発された”D-18T”と呼ばれる3軸式ターボファンエンジン(断面図)で全長は212インチ、重量は4,100 kg (9,039 lb)、推力は229.77 kN(23,430 Kgf)、バイパス比 5.7。ソ連初の推力20 000 kgfを超えるエンジンであり、1970年代に就役していた米空軍のC-5A輸送機が搭載していたエンジンの”TF39”(GE製CF6の初期型)が全長188インチ、重量8,966 lb、推力205 kN、バイパス比 8であることを考えると10年ほど遅れたもののカタログスペックはほぼ同等を実現したといえる。
 
(↑D-18T)
 CF6はC-5シリーズだけではなく多くの民間機でも採用されたため非常に多くのバリエーションを持つが、TF38はC-5シリーズのみが使用し、D-18TもAn-124およびその発展型An-225”ムリーヤ”(世界で最も重い輸送機として知られる)にしか採用されていないためバリエーションは控えめで、運用台数も188基とされており比較的少ない。
 しかし、それでもD-18Tには基本形のD-18Т、推力を増強した”D-18Т シリーズ 3”および”D-18Т シリーズ 4”の3つのバリエーションが存在する。
 
 C-5輸送機が改良されC-5A、C-5B、C-5C・・・と変遷を重ねたようにAn-124も改良と近代化が行われた。そこから派生した民間型のなかで最も一般的なのが”An-124-100”と呼ばれるもので、エンジンはDT-18の基本形を搭載する。さらに2003年〜2005年にはAn-124-100を近代化改良する計画がロシアとウクライナの間で確立された
 
 こういった流れの一環としてウクライナ唯一の航空機エンジンを製造する会社である”Motor Sich”が、An-124のエンジンを近代化を担当する企業として指名されました。(RIAノーボスチ)これ以外にもAn-124を運用する民間の航空会社”ヴォルガ·ドニエプル航空”(ボルガ博士禁止)とAn-124を設計したアントノフも参加します。予算は1500万ドルだということです。
 エンジンの近代化により推力は28〜32トン(28 000kgf〜32 000kgf = 274.40kN〜320.00kN)に強化される。
 また、大西洋航路で使用することを主目的にしたAn-124-300ではエンジン出力はさらに強化されるとのこと。
 An-124の原型機およびサブタイプはここに詳しい。
 
 アントノフは、2011年にAn-124-100は近代化により設計寿命を25年から45年へ延長することを発表しました。ルスランはまだまだ飛び続けます。