3隻目の改キロ級(プロジェクト06363)が起工される

 FLOTPROMによるとキロ級潜水艦(ワルシャワンカ級/プロジェクト877)の近代化新規建造型である”改キロ級”(プロジェクト06363)の3番艦がアドミラルティ造船所で8月17日に起工されるとのことです。
 
 起工されるのはスタールイ・オスコルに因んだ艦前を持つ”スタールイ・オスコル”で、シリアルナンバーは01672で、先行して建造されているプロジェクト06363の1番艦 B-261”ノヴォロシースク”(シリアルナンバー01670)と2番艦 B-237"ロフトス・ナ・ドヌー"(シリアルナンバー01671)に続き、黒海艦隊に配備される予定です。計画ではプロジェクト06363は全6隻が建造される予定であり、黒海艦隊向けの建造だと位置づけられています。
現在、黒海艦隊には潜水艦としては唯一、ポンプジェットを装備するキロ級であるプロジェクト877V B-871”アルローサ”が在籍しています。
 
・B-261 "ノヴォロシースク"
 2010年8月20日起工
 2013年就役予定
 
・B-237"ロフトス・ナ・ドヌー"
 2011年11月21日起工
 2014年就役予定
 
・(艦番号未定)”スタールイ・オスコル”
 2012年8月17日起工
 2015~16年就役予定?
 
 B-261"ノヴォロシースク"の就役時期については、2012年第一四半期に2013年と発表されており、順調に工事が進めば後に続いてほぼ1年毎に各艦が就役していく見通しになります。
 
 改キロ級では、水上・地上に投射する火力として”カリブル”(SS-N-27)が搭載可能になっています。”カリブル”は従来”クラブ”と呼ばれていたものです。同等の能力をインドのプロジェクト877EMや中国の636型も保有し、両者はクラブSと呼称される潜水艦発射型を装備します。中国およびインドには亜音速巡航/亜音速突入する3M54E1型が輸出されています。
 黒海艦隊で使用する改キロ級であれば、亜音速巡航/超音速突入できる3M54E型を運用可能です。また、対地ミサイルとしては3M14Eと呼ばれる魚雷発射型が存在しており改キロ級で対地型を運用するとなると恐らくこれが使用されるでしょう。”クラブ”ファミリーには現用のヴォドパト対潜ミサイルを代替するであろう艦/潜対潜ミサイル91RE1も存在しますが、黒海周辺ではこれを運用する理由は無さそうです。”クラブ”シリーズは全て直径が533mmと、西側のミサイルのように整然とファミリー化されているためシステム上は潜水艦からの発射に対応したタイプの”クラブ”であれば改キロ級から運用できるはずです。
 ただし、改キロ級では魚雷管からミサイルを射出するため、魚雷18本分の容積を持つ弾薬庫と相談しながらの運用となります。ヤーセン級(プロジェクト885)やロサンジェルス級などがVLSを備えることのメリットがこの”魚雷とミサイルの弾薬庫を分離することによる投射火力の確保”です。