ロシア海軍太平洋艦隊は日中の尖閣諸島問題に関する特別な命令を受領していない

 日本と中国の尖閣諸島に関する対立を待機状態でモニターしていたロシア海軍太平洋艦隊が、現状における尖閣諸島に対する太平洋艦隊の対応について発表を行ったようです。(RIAノーボスチ
 
(↑”海監27”)
 中国の巡視船”海監51”と”海監66”及び”海監50”・”海監15”・”海監26”・”海監27”が日本領海内に侵入し、中国が領海と考える水域において通常のパトロールを実施し、中国政府は『中華人民共和国政府の釣魚島およびその付属島嶼領海基線についての声明』を発表し、今後も定期的に漁業水域の巡察を行うことを表明しました。
 この出来事に対して太平洋艦隊は「艦隊は日常業務の一環として、尖閣諸島を巡る情勢を監視する任務に就いています。該当地域情勢の悪化による任務を追加する命令は受領していません。」と述べました。
 
 ロシア海軍はこの問題について現状では首を突っ込む意志がないことを強調しています。平時の監視任務の一環で尖閣諸島をマークしている(少なくともそういうポーズを取っている)ものの、このまま情勢が悪化しても監視任務を継続する方針のようです。(当たり前といえば当たり前ですが)


 ”海監”は中国の国土資源部国家海洋局が所管する海監総隊が保有する船舶に付けられる名称で、一方”漁政”は漁業資源の管理を担当する農業部漁業局が保有する船舶に付けられるもので、日本では水産庁の漁業取締船に相当します。中国にはこれらとは別に公安部辺防管理局が所管する中国公安辺防海警部隊(中国海警)が武装警察として存在しており、海上警備は本来こちらの担当であり、正確には中国における”巡視船”はこの中国海警の保有する船舶になります。
 しかし、”海監”も”漁政”も事実上の巡視船として中国の権益確保のためパトロールを行なっていることは周知の事実です。今回侵入を図った”海監50”・”海監51”・”海監27”は新鋭艦で、特に50は全天候作戦能力を持つ艦載ヘリを搭載しており、従来艦と比べても近代的なメンツが揃っています。