Westone 3レビュー

 今年も早いもので、XBA-4SLに愕然としたのがつい先日のように感じられますが、実はもう大晦日です。色々と忙しくてロシア海軍関係のネタで更新できない日々が続きましたが、一応ノーボスチあたりに目を通しことくらいはやってます。ミストラルのロシア国内建造分、キャンセルされるみたいですね。
 
 それは横においておいて、つい1週間ほど前に散髪の帰りにふらっと某eイヤホンに立ち寄りオーテクのファインフィットMサイズを買いに行ったのですが、中古コーナーにWestone3があるのを見つけてしまいました。Westone3は、近頃なぜか品薄でeイヤでは在庫はおろか試聴機まで撤去されるという有様。調べてみるとなんと生産終了だとかいう話もあったので、ちゃっかりKossのSportaproと一緒に買って来ましたので今更感がありますが以下レビュー。
 
 下馬評ではWestone3は低音強めのドンシャリでパワフルな音を鳴らすイヤホンだという事でしたが、まさにそのとおりです。Westone3を買うまでつけていたe-Q7をふっ飛ばすようなパワフルさで、低音の音圧は流石にダイナミック型より劣るものの10proの低音よりは締りがあってスピード感があり自分の好みです。
 ドンシャリといえば気になるのは中音、とりわけボーカル。ボーカルはiPod直挿しだと女性ボーカルはやや頭打ちな感じ。気にならないといえばならないし外付けのアンプを使ったことがなければ気づかない程度かと思う。男性ボーカルは、直挿しだと低音にやや埋もれがち。男性Vo、女性Vo共にアンプでアシストすると結構いい感じに。ただ、ボーカル命な人はUM3Xがやはり向いてそう。女性ボーカルだとe-Q7がおすすめ。音の傾向としてはe-Q7に低音を足した感じがSE535LTD。Westone3はボーカルをそつなくこなしつつ全体をエネルギッシュにぐいぐい引っ張っていく感じですね。
 
 一聴するとWestone3は低音が特徴的ですが、聴き慣れてくるとコイツも3wayなんだなーと思わせてくれる程度にバランスはいいです。上述したように、ボーカルが埋もれてしまうわけでもなく、低音は量は多いものの締まった感じがあるためテンポの良さを演出してくれます。Westoneの特徴として、高音が華やかだったりすることはないものの、特に頭打ち感は感じませんし女性ボーカルのキーの高い部分もきちんと伸びているので問題はないと思います。サ行は、自分は刺さりを感じたことがないのでよくわからないのですが、「刺さる」と「刺さらない」の間くらいでしょうか。CK100Proほどピーキーではありませんが刺さるときもあるという感じです。Westone4よりは刺激的ですが、聞き疲れをする高音では無いでしょう。
 
 さて、以前は所持しているポタアンはRSA "The Hornet"のみでしたが最近仲間が加わりました。ALO "Rx amp Mk2"とFOSTEX "HP-P1"です。ケチケチなのでどっちも中古です。Rx Mk2の方はバランス入出力に対応したMk3が、HP-P1の方はそろそろ後継機が噂されています。値段は共に中古価格で3万円前後です。
 Hornetは今のRSAのP-51(という名前のアンプです。元ネタは戦闘機のマスタングですが)の先祖ともいうべきアンプだと勝手に思い込んでいるのですが、Westone3がアンプに化けたのかと思うくらい暴力的で、HP-P1を間に挟んで3段重ねにしても胸ぐらをつかみこまれて脅されているのかと思うほど低音に迫力があります(D型の低音に量だけなら匹敵するかも)。
 出力インピーダンスの都合もあって常時Hornetと繋ぐのは苦しいのでRx Mk2とHP-P1の登場です。世間では「エージング後のRx Mk2はSR-71(これもRSAのアンプの名前です・・・元ネタはもちろんアレ)に似てる」と言われており、Rx Mk2 +Algorhythm Soloの組み合わせはHP-P1と比べると「濃厚」と評されますが、所詮はフラット傾向のアンプ。Hornetの濃密さにはかないません。正直、Rx Mk2とiPodの二段重ねだと外出時に違いがわかるかどうかやや微妙に感じます。ただ、Rx Mk2が非力だというわけではなく縁の下の力持ち的な傾向にあるからだとは思うんですがね。
http://www.headfonia.com/wp-content/uploads/2011/03/CLAS_03.jpg
(↑Rx Mk2+Solo)
 HP-P1はRx Mk2 +Algorythm Soloのコンビに対して「超絶フラット」とか「淡白」と言われますが、淡白というよりは「クリアなイメージ」というのがしっくり来る表現です。Westone3に限りませんが、BAのイヤホンを繋いでイース2 エターナル版のTO MAKE END of BATTLEを聞くとアドルと一緒にダームの塔からイースに飛ばされるような透明感です。ここまでクリアだと高音のきついイヤホンを使うときはちょっと怖いですね。低音も量感を重視する人には不足していると感じられるかもしれませんがそこそこ沈み込みもあり、ノリの良さを適度に表現できていると感じます。なので「淡白」というのは少し違うかなー、と。低音がそこそこあるお陰でPCエンジン版イース2のTO MAKE END of(以下略)を聞くとイースの溶岩地帯でキースを見つけた瞬間にぶっ叩きたくなりそうな高まり具合です。
 あ、自分はもともと中高音重視なのでその点は割引いておいてください。
 中高音重視ならクリアか高音の伸びるアンプを選び、低音系を重視する人はRx Mk2はやめておくことがWestone3だと幸せになれそうです。まあ、疾走感のあるノリの良いイヤホンなので気軽に直挿しかWalkmanでも十分楽しめると思います。
 
 にしても生産終了が本当ならなんでなんでしょうね。現行のWestoneのラインナップ見てもダブりはないと思うんで部品調達の都合なんですかね?