2013年モスクワエアショーでのPAK FA

 MAKS 2013(国際航空宇宙サロン)、通称”モスクワエアショー”が今年も8月27日から9月1日にかけて開催されます。ロシアが開発中のPAK FA(前線空軍向け将来航空複合体)のスホーイT-50は2010年に初飛行を果たし2011年にMAKSにデビューしている。

(↑スホーイ T-50)
 今年もT-50はMAKSには登場するようであり、MAKS 2007で発表された最新の第4++世代機であるSu-35Sと共にバレルロールや宙返りやフラットスピン、そして有名なプガチョフ・コブラ等の機動を含んだ飛行を行うとRIAノーボスチは報じています。T-50を操縦するのは”ロシアの英雄”という称号を持つテストパイロットのセルゲイ·ボグダンで、彼はT-50の飛行試験にも参加しています。Su-35Sを操縦するのは同じく”ロシアの英雄”の称号を持つ名誉テストパイロットのユーリ・ヴァシュークです。

Su-35SはMAKS 2007での発表後、MAKS 2009で初の飛行展示を行い2013年のパリ・エアショーでは初めてロシア国外のエアショーでの飛行展示をこなしています。Su-27系列の発展型であるSu-35Sはその高い空力性能を遺憾なく発揮し高機動飛行を行っていますが、ステルス機であるT-50も試験飛行を重ね徐々に限界を伸ばしています。航空宇宙ビジネス短信・T2の記事からの引用では「最近のビデオを見ると高度を維持したままの水平回転や高迎え角で方向転換といった高機動飛行をしており、パリ航空ショーでSu-35Sが示した展示飛行と同様の飛行をしている。」とのことであり、静的安定性劣化や最新のフライ・バイ・ワイヤの支援はあるにしてもフランカーの飛行性能はT-50にも受け継がれているようです。T-50には全遊動の垂直尾翼や可動するストレーキなど目新しい構成要素を含んでいますが、先ほどの航空宇宙ビジネス短信・T2の記事によるとF-22のTVCでは不可能なヨーの制御もT-50では「エンジン二基は大きく離れて配置してあり、兵倉庫の空間を確保するとともにロール・ヨーのベクトル制御を実現」したとのこと。F-22のTVCはF-15 S/MTDで実績を積んだピッチ制御のみを可能にした二次元タイプですが、F-15 ACTIVEで試験されたピッチ・ヨー制御可能な3次元タイプのノズルを搭載するのは物理的に不可能ということでしょうか。フランカーと違いテールコーンが控えめなT-50ならヨー制御にTVCを用いても排気熱の影響も小さいのでしょう。F-22のTVCに関しては機動性全般の向上を狙うソ連ロシア系とは異なり舵の効きの低下する高空一方で機動性を確保するためという話もありますが・・・。一方で、ステルス性についてはT-50はF-22より劣るというのはロシア内外で共通の認識のようです。

 完成度を高めていくT-50ですが、2016年には量産に入る計画です。

(↑ Su-37コブラとかやってくれる動画。プガチョフ・コブラはいわゆる普通のコブラです)