ロシア空軍のMiG-31は2028年までは現役にとどまる

RIAノーボスチの記事によると、MiG-31は少なくとも2028年までは現役に留まるとのこと。

(MiG-31)
 Su-35や新しい兵器の到来により空軍は長距離要撃という任務を担うMiG-31の改修か新型機の導入を迫られているとのこと。MiG-31迎撃戦闘機は少なくとも2028年まではロシア空軍で任務に就き、その後も必要とされるのであれば5年から10年寿命を延長されるだろう、とノーボスチにロシア空軍総司令官ビクトル・ボンダレフ中将は語りました。「2028年に我々がアップグレードを行うまでは活用するであろうMiG-31の持っている全ての資源指標は”リニューアルできない資源”に割り当てられています。もし我々が必要性を認めた場合、MiG-31の改修を行い2028年を過ぎてからも5年から10年寿命を延長させることができます。」彼は述べました。
 彼はSu-35や長射程迎撃ミサイルなど新しい武器の出現により空軍が迎撃任務をMiG-31でない他の航空機に割り当てる可能性もあるが、MiG-31が引き続き迎撃機として活動する可能性もあることに注意を促しました。

 ソ連防空軍の擁する各種迎撃機の中でも高高度迎撃機の最高峰であったMiG-25を低空侵攻機や巡航ミサイルへの対処のため設計を変更して作られた迎撃専任のMiG-31ですが技術の進歩により汎用戦闘機でもその任務を十分こなすことが可能になりました。かつては米軍も本土防空は専用の迎撃機を割り当てていましたがF-106を最後に迎撃専用機は作られなくなり空軍の通常部隊と州空軍が本土防空任務を担っています。大陸間弾道ミサイルの台頭により、敵本土を爆撃機で襲撃する戦術が陳腐化したことやコスト問題などがその原因となっていますが、ソ連では恐らくアメリカの戦略偵察機が実際に本土の領空侵犯を行っていたことや空軍と防空軍がはっきりと区別されていた等の理由で迎撃専任機が製造されてきました。ロシアではSu-27とMig-31が防空の要とされてきました。噂されているKS-172の様なミサイルが有れば地上レーダーサイトや味方戦闘機隊とのデータリンクを活用して汎用機でも十分高価値目標迎撃は果たせるでしょうし、R-77の射程延長型なども開発されています。また多くの機種を維持することは兵站の負担にもなります。
 Mig-31もMiG-31FやMig-31BMでマルチロール化を図ったもののソ連崩壊直後のロシアの財政事情により採用されていません。また輸出型のMig-31Eも迎撃に特化した設計という特異さと価格から顧客を伸ばすことが出来ていません。

(↑MiG-31の運用するR-33ミサイル)
過去に行われたMiG-31に関する公聴会では、既存のMiG-31をMiG-31BM相当に60機改修することが決定されてると述べられておりそれとは別にMiG-31の再生産が必要な理由としては500機以上生産されたMiG-31のうち現役機が120機程度でこれは迎撃態勢に必要な20〜25%であるため、数を増やす必要があるとしています。これへの反対意見にはアビオニクス(特にザスロンレーダー)の能力不足であることや現役機の少なさは高速飛行による劣化が原因だということ、再生産に要する費用を新型迎撃機開発に投入すべきだ、などが上げられています。前線戦闘機はあくまで前線戦闘機だというソ連流の考え方では通常の戦闘機に加えて高度に迎撃に特化した機体を求める声もあるようですがMiG-31ですら海外市場を見いだせてない以上ロシア国内専用になる可能性の高い機体を本当に開発する気があるのかが問題です。ミサイルとセンサーの発達により高高度の目標も探知さえすれば自機も同高度まで上がらなくても迎撃可能になったわけですし通常機の性能も向上しているわけですしね。いずれにせよ2028年まで現役に留まるMiG-31もアビオニクス周りは改修しないと見劣りするのは確かです。