ロシア国防省は小型UAV”エレロン-3SV”を購入する

 RIAノーボスチによると、ロシア国防省は企業”エニックス”と34機のドローンを含む無人航空機(UAV)の”エレロン-3SV”(Элерон-3СВ)複合体を1億ルーブル以上の価格で購入することに合意しました。
 主任設計士のミハイル・ザヴァリーはノーボスチに「私達はこれら複合体の供給のために国防省と契約を行い、つい昨日調印されました。」と語りました。「正確な金額は申し上げられませんが、それは1億ルーブル以上の価格でした。」彼は続けました。彼によれば同社は2014年中に契約を完遂することを予定しているとのこと。「ロシア軍はUAVを大幅に改良しているでしょう。エニックスの現行機は過去の開発機とは単に外見のみが類似しているだけです。」と強調しました。
 彼によれば、”エレロン-3SV”の価格は海外で開発された同クラスのUAV―例えば"Watchtower"UAV―と比べて約5倍も低価格だということです。その"Watchtower"UAVは2010年にロシアとイスラエルが交わした契約によりロシアで生産されることに成ったUAVです。
 ”エルロン-3SV”は短距離の偵察任務を想定した機体で安定化装置を備えた可視光カメラや10倍増幅の熱線映像装置及び低照度熱線映像装置の機材と他の交換可能なペイロードを備えます。最大離陸重量は5.3kgでありその際は1kgまでのペイロードを積載可能です。最高速度は時速130kmで最大4000mまで上昇できます。

(”エレロン-3SV”) 
 ロシア軍の導入する戦術級偵察UAVについての情報です。現在の一般的なUAVの用途についてはMQ-9"リーパー"の様な攻撃任務を含んだ多用途向け、大掛かりなISR任務向けと小規模な戦術的な偵察任務向けに大別されるわけですが、ISR任務と並び戦術偵察においてもUAVの恩恵は大きいものです。小型のUAVであれば比較的小規模な部隊で必要な情報を入手するための偵察を人的被害を心配せずに実施できるからです。戦術偵察向けUAVにも分隊単位でも運用できそうな手投げ式で個人でも運用可能な機体や今回の”エレロン-3SV”から比較的大掛かりなタイプまで存在します。前者は末端部隊が進行中に必要に応じて偵察を行うのに利用され、後者は司令部配備あるいはそれ専用の部隊に集中して配備されある程度の戦略決定に供されるのでしょう。活発に開発が行われてきたのは後者ですが、技術の進歩によりさらなる小型化が実現されたため最近では前者の開発が一種の”最先端の流行”になっているように思います。画像を見る限り本機は小型カタパルトから射出するタイプため手投げ式と比べ少々大掛かりで運用上の手間は増加しますが十分に小型といえる規模でしょう(それにしても槍玉に挙げられていた"Watchtower"UAVとは規模がだいぶ異なるように思われますが・・・)。ロシアとしても世界の趨勢に乗り遅れないようしっかり技術の研究開発と運用方法の模索は行っていくということです。