ロシア向けミストラル級はロシア製衛星通信システムを搭載する

 Flot.comによると、ロシア向けミストラル級にはフランス製の旧式衛星通信システム”シラクス(Syracuse)”の代わりにロシア製の”ケンタウルス”が搭載されるとのことです。

(↑ミストラル級)
 元々はロシア向けミストラル級も西側の衛星通信システム”シラクス”の発展型を搭載する計画であったようですが、最終的にはフランス側は1番艦”ウラジオストク”に旧式の衛星通信システムしか供給できないと通告しました。そのためにロシア製の衛星通信システムが搭載されることになりました。「特に外国技術の導入は情報の開示に繋がることもあります。」海軍幹部に近い情報源はそう語りました。さらに彼は付け加えて船は最終的な艤装はサンクトペテルブルグで行われて完成されるだろうと述べました。しかし、ロシアの軍事専門家は、ミストラル級のロシア建造分がフランスのサンナゼール港へ輸送される前に、通信機器設置に関する会議が行われさらに国産通信機器の試験が実施されるとしています。
 資料によると、従来ロシア海軍で使用されてきた機器に加えてHF波及びVHF波の受信機及び発信機として確立されている”P-794-1”が”ウラジオストク”に搭載され、これらは衛星通信システム”ケンタウルス”の発展型であるとのことです。このシステムは船舶間及び地上局と512kbit/秒のデータ通信を可能にするとされています。しかし、専門家たちは他のフランス製装備とロシア製通信機器とのインテグレーションに問題が生じることを恐れています。
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(←”ケンタウルス HM1”アンテナ)
 先日もフランス製戦術情報処理システムの供給の可否について報道が錯綜したミストラル級ですが、衛星通信システムについても供給の問題が有るようです。
 フランス製の通信衛星を利用した”シラクス”の代わりに搭載される”ケンタウルス”ですが、民生品のようです。”Вигстар”という衛星通信機器を製造している会社の製品で、”ケンタウルス”はシリーズの名称となっています。カタログを見る限りではおそらくミストラル級に搭載されるのは”ケンタウルス HM1”(ないしHM3)でしょう。海自艦でいうところの高速データ通信が可能になったNORQ-1 スーパーバード衛星通信アンテナに相当する製品です。NORQ-1はKuバンドを利用しIPネットワークを使用した通信ができるとされていますが、”ケンタウルス”の使用する波長は不明です。他の機器がフランス製であるのに対し通信システムはロシア製ということでインテグレーションを心配する専門家が存在することは当然ですが、インテグレーションの難易度は2番艦”セヴァストーポリ”から搭載される見込みのロシア製戦術情報処理”SIGMA-E”の方が高いでしょうから言うだけ無駄のような気もします。