米軍からの"核"トマホーク退役とその後

 "核トマホーク"の退役です。すべてのトマホークが退役するわけではありません。訂正します。 更に正確に言うと「トマホーク向けのW80核弾頭が廃棄される」という風になります。以下訂正済み本文です。

米軍の話です。ロシアの話ばっかりでしたが。
 少し前、アメリカは日本政府に"核"巡航ミサイルトマホークを順次引退させると非公式に伝達したようです。「核体制の見直し」にも恐らく明記されるとのこと。核弾頭搭載型トマホークは1991年9月27 日にブッシュ(父)が水上艦船及び攻撃原潜から核兵器を撤退すると宣言したため、すでに撤去されています。陸上配備のトマホークもINF全廃条約により撤去されています。 現在アメリカでトマホークを使用しているのは米海軍だけです。
(Mk.41からのトマホークの発射)
 報道では"核巡航ミサイル"等と表現されており別に間違いではないのですが、現役のトマホークの殆どは通常弾頭を搭載しています。

 元々トマホークは第一次戦略兵器制限条約に抵触することなく運用可能な戦略兵器として海軍が開発を開始し、途中で空軍が加わった。空軍が開発中だった巡航ミサイルAGM-86からはターボファンエンジンを海軍のBGM-109からは地形等高線照合システムをそれぞれ採用して、量産型BGM-109Aが制式採用された。BGM-109Aの初飛行は1980年3月で水上艦から発射された。6月には潜水艦からの発射にも成功して1983年3月に初期作戦能力を獲得している。

 トマホークのミッションは対地攻撃と対水上攻撃で、それぞれに別のタイプのミサイルが使用される。が、米海軍からは既に対艦型トマホークが引退してしまったため現在は対地攻撃のみとなる。いずれも、水上艦のMk.41VLS・装甲ボックスランチャーMk143から、潜水艦であればVLS・魚雷発射管 (タクティカル・トマホークでは不可)から発射できる。ミサイルはデジタルマップを元に低空を飛翔し地形をかわしつつ最大約2500Kmの道のりを行くわけだが、その速度は亜音速程度で迎撃ミサイルを回避するわけでもないので生存率はそう高くはない(地形を回避できるのはデジタルマップがあるからであって、トマホークが何に対しても回避運動を取れるわけではない)。湾岸戦争等では歩兵銃でトマホークが撃墜された目撃例もあるほどである。しかし、米軍にとってトマホークが対地攻撃のための便利な手段であることには違いない。また、トマホークは駆逐艦や潜水艦といった従来では考えられなかった艦種の鑑を
対地攻撃に参加させることに成功した点で有意義だったと言える。だが、亜音速でしか飛行出来無いトマホークは旧式になりつつあるとも言える。
(ロシアの超音速巡航ミサイルP-800)