ロシア海軍は新型ステルス駆逐艦を開発する

(ソブレメンヌイ級)
 FLOT.comの記事より。
 それによれば、ロシア海軍はステルス技術に基づいた新世代駆逐艦を開発するとのこと。「我々は、新たな遠海ゾーン艦の風貌を創る為の研究作業を行なっており、プロジェクトの技術文書を策定します。
このプロセスは、およそ30ヶ月かかるでしょう」(ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課) つまり、現在は新型駆逐艦の青写真を作るための研究作業中ということです。研究作業の完了と技術文書の策定に30ヶ月かかるということでは無いでしょうか。ロシア海軍が新型駆逐艦の建造を意図していることは何度か報道されており、新型艦はプロジェクト956(ソブレメンヌイ級)の代替となります。また、956型のうち維持費がかさむ艦は「廃棄」されるようですが956型も新型艦就役からしばらくの間は現役にとどまると思われます。新型艦は2012年からロシア国内の造船所で建造されると報じられましたが、その際通信社ノーボスチにこの件を伝えたのはロシア連邦海軍総司令官のウラジーミル・ヴィソツキー海軍大将でした。今回は"防衛産業複合体の関係者"がインタファクス- AVNに伝えたと言うことなので「造る側」の発言と言うことになります。

 この新型艦は未だプロジェクト番号も決まっていないということです。"防衛産業複合体の関係者"が語るところによると、多用途艦になる見通しだということで兵装の選定はこれから決定されるということです。対空・対水上用の艦である956型の後継ということなので恐らく兵装は956型の物の改良型等が選ばれるのではないでしょうか。956型も21番艦以降は後部130mm砲を撤去し、P-800を運用するVLSを設置する予定だった事やP-800にも大きな問題が無いことをあわせて考えると、956型の3M80/3M82はP-800に置き換えられるでしょう。「多用途」という事なので956型本来の任務である「対空」や"本業のついでの筈だった"「対艦」任務の他にも従来ではウダロイ型が担当していた「対潜」任務もこなせるようになる可能性があります。今のところウダロイ型を代替する新型艦を建造する話は出ていなかったと思うので可能性は高いのではないかと思います。多用途艦と言う事ですが、その言葉が米海軍のアーレイバーク級のような万能艦を指すのか、ただ単に様々な任務を行うことが出来ると言う事なのかがはっきりしませんが、新型艦の性格がどう言ったものなのかはこれから決まっていくのかもしれませんし、もう決まっているのかもしれません。参考までに書いておくと、956型はキーロフ級スラヴァ級を補助する事を想定して設計されました。ですが、目的海域に大艦隊を派遣することは無いでしょうから、紛争地域に軍艦を送りロシアの戦略に海軍が寄与する事を想定しているのならばいわゆる「万能艦」になるのではないかと思います。ただ、紛争地域に駆逐艦を少数派遣するだけなら広域防空ミサイル等は不要であり、956型の3K90「ウラガーン」とほぼ同等の射程(3K90は約30Km。因みにRIM-7M シースパローは26km)でも事足りるでしょうから、ロシアが「艦隊行動」を意識するか戦略的な役目を負わせ紛争地域に少数を送る様な、昔列強が中国に送った「砲艦」の様な役目を意識するかで設計は分かれるでしょう。使用に耐える万能艦なら申し分ないし、それに戦略的役目を負わせるような気がするのですが・・・・・。

 一方こちらは米海軍に就役予定の新型駆逐艦ズムワルトです。こちらは艦体の設計が相当革新的でステルス性を相当意識しています。世界の警察も辛いもんです。紛争地域にチョロッと艦を送る目的ならこう言う設計は不要だと思いますが、「艦隊型」ともなるとそういうわけには行きません。