護衛艦「ゆうぎり」艦内で3等海曹が死亡

 ソマリアで(漂流刑にせず人道的に)海賊退治を行っていた海上自衛隊の艦船、護衛艦「ゆうぎり」(DD-153、あさぎり型3番艦)のトイレで6月9日に3等海曹が死亡する事故が発生しました。原因は屎尿の分解機構のトラブルの可能性が高いということ。

(↑DD-153 ゆうぎり)
 長期航行が前提の護衛艦(「ゆうぎり」は甲型警備艦)には当然屎尿タンクと屎尿を処理する装置が付いています。通常屎尿バクテリアの作用で処理されて航海中に投棄されます。その際に硫化水素をはじめとする有毒ガスが発生しますが、艦外に放出できるようになっています。今回の事件の原因は、し尿の処理作用が不十分で高濃度の硫化水素が発生し何らかの理由で個室トイレ内に逆流してきたからだと推測されています。

 屎尿が原因で死亡なんて嫌ですが・・・・自衛隊では「戦死」扱いが無いので殉職になるんでしょうがね。まあ旧軍でもトイレで死んだら殉職ですが。ちなみに旧軍では「戦死」は2階級特進。「殉職」は階級据え置きです。

 ちなみにこの「ゆうぎり」、かの1996年6月4日のリムパックで米海軍の標的曳航機A-6艦攻をCIWSで誤射し撃墜した艦です。幸いパイロットは脱出して無事でしたが、何かとトラブルの絶えない艦で・・・・・南無。あの件でCIWSが本来のミサイル迎撃だけでなく航空機にも有効なことを改めて知らしめたわけですが・・・・不幸。

 「ゆうぎり」は2010年5月8日に第5次派遣海賊対策水上部隊に参加するため定係港の大湊基地を出航し、5月10日に横須賀基地からDD-101 むらさめ(むらさめ型護衛艦1番艦)と共にソマリア沖を目指し出撃しました。