戦略原潜K-407”ノヴォモスコフスク”は近代化を完了した

 現在のロシア海軍の水中核戦力の中核をなす改良型デルタ型戦略原潜のうちの1隻であるK-407”ノヴォモスコフスク”が2006年11月27日から行っていた艦船修理工場ズヴェズドチカでの近代化を完了し再進水しました(flot.com)。同艦は2012年に海軍に復帰するようです。同艦はデルタIV級(プロジェクト667BDRM)の最終艦。

(↑デルタIII型 プロジェクト667BDR)
 現在のロシア海軍の戦略戦力の中核を担う戦略原潜群はデルタ型の各級で構成されます。ロシアはそのうち最新のクラスであるプロジェクト667BDRM(NATOコードネーム”デルタIV型”)の寿命を約10年延長するなどの近代化を行っており、K-51”ヴェルホトゥーリエ”・K-84”エカテリンブルク”・K-114”トゥーラ”・K-117”ブリャンスク”・K-18”カレリア”の近代化を1999年から2010年にかけてズヴェズドチカで行っており、K-407”ノヴォモスコフスク”の改修をもってプロジェクト667BDRM全艦の近代化改修が完了しました。なお、3番艦K-64”ウラジーミル”は戦略任務から外されBS-411”オレンブルク”(プロジェクト09774)の後継の特務原潜に転用されたため、上記のリストには含まれません。

(↑K-407”ノヴォモスコフスク”)
 K-407はセヴェロドヴィンスクのセヴマシュ(セヴマシ)で建造され、1990年に海軍に納入されました。1991年8月6日にはロシア海軍で初めて水中から搭載する16発全てのミサイルの一斉発射を行いました。1998年7月にはドイツの科学衛星2基を搭載した特別改造型R-29RMミサイル”スチル1”をバレンツ海から発射するなどの活躍を示しました。が、1993年3月にスタージョン米原潜SSN-646”USS グレイリング ”とムルマンスク北方の海域(いわゆる”聖域”)で衝突し、修理が行われました。USSグレイリングも同様に損傷しアメリカ本国に帰投しましたが1997年7月18日に除籍されました(修理が不適切だったようです)。修理を完了した後、996年7月15日にはK-447”キスロボーツク”(プロジェクト667B)と共にミサイルの発射を行い成功させています。

 近代化は艦の寿命の延長はもちろん、水中放射雑音の低減やソナーの探知能力の向上、R-29RMU2(RSM-54)への対応が含まれます。プロジェクト667BDRMの近代化には100以上の企業が関連しました。今年3月18日のイタルタス通信の記事は、2010年11月中旬には再進水する予定だと報じていましたが一ヶ月ほどの遅れが生じています。

 今後しばらくはロシア海軍の戦略戦力主力は改修型プロジェクト667BDRMのR-29RMU2”シネーワ”SLBMとプロジェクト955(ボレイ級)及びプロジェクト955Aの3M14”ブラヴァー”で構成されるでしょう。